鉄道を舞台にした映画と小説の紹介:アガサ・クリスティーから007まで

はじめに

鉄道は、映画や小説の格好の舞台です。旅情を誘う魅力があるのに加えて、その舞台的性質上、数々の小説や映画の舞台になってきました。
列車ダイヤであったり、密閉空間という設定は、特にミステリーの舞台に最高です。

Shino
Shino
列車内はミステリーや物語の舞台に最高よね!!ワクワクします!そして、駅も旅情があっていいですよね。そんな映画や小説を紹介していきます!

1.ミステリーの女王アガサ・クリスティーは旅行好き

最初に英国を代表するミステリー作家アガサ・クリスティー(1890-1976) を紹介します。

彼女は、旅の中で沢山のインスピレーションを得たといいます。実際の旅行経験があるので、リアリティがあるんですね。

代表作は沢山ありますが、中でも中東を舞台にしたシリーズなどは、傑作に数えられています。当地を旅行した経験も、作品に影響を与えているそうですよ。

1-1: 小説/映画 『オリエント急行殺人事件』(1934)

クリスティといえば『オリエント急行殺人事件』(1934)。冒頭は、イスタンブールです。ここはクリスティーのイスタンブールへの一人旅が、作品に影響を与えているとされます。

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何といっても本作品は、列車内の密室ミステリーの傑作です。

あらすじ

主人公の名探偵ポワロは、アメリカ人の富豪から「脅迫状を受け取っている」と話しかけられます。乗客の誰が彼を狙っているのでしょう。オリエント急行に乗り合わせた他の乗客との駆け引き。犯人の謎、そして物語の結末から、傑作に挙げられる一作。さあ、犯人は誰でしょう!

映画化も話題になりました。小説とあわせて楽しみたいですね。

Shino
Shino
「オリエント急行殺人事件」は映画を観ました!ジョニーデップがいい味出してましたね!

1-2: 小説 『パディントン発4:50分』(1957)

クリスティーによる『パディントン発4:50分』(1957)は、冒頭、列車が駅を出発するシーンから始まります。

ここではロンドン・パディントン駅が登場します。ヒースロー空港からのヒースロー・エキスプレスの発着駅でもあり、日本からロンドンに入る時に、多くの人が通る駅ですね。

あらすじ

マギリカディ婦人は、クリスマスの買い物の荷物を持って、友人である探偵ミス・マープルに会うため列車に乗り込みます。パディントンから発車した列車は、他の列車と並走して走ります。その並走する隣の列車内で起きてる殺人事件を、婦人が目撃するという話。

どう犯人を探し当てるかは、小説で楽しんでみてください。

大きな天井が印象的なロンドン・パディントン駅

パディントン駅は、ヒースロー行きや、イングランド西部行きの列車が出ているターミナル駅なため、大きな荷物を持った人々が多いです。
ここから色々な旅が始まったり、終わったりします。駅の雰囲気が最高です。

Shino
Shino
パディントン駅は、イギリス旅行に行かれた人は通過したかもしれませんよね。私もヨーロッパの大きな駅にびっくりしました!

2. 駅に旅情を感じる

旅行中に立ち寄る駅で見る光景が、旅愁を感じさせ、旅が終わってからも印象に残る事も多いものです。そんな駅はドラマチックな舞台にピッタリです。本セクションでは、駅にスポットを当てて紹介します。

2-1: 小説 宮本輝『オレンジの壺』

「とりわけ異国の駅は、人間に過去を思い出させる道具立てが揃っている。シグナル、ジプシー、汽笛、旅人たち……。美しいあやまでが、どこかにいるような錯覚をもたらす。」

—『オレンジの壺(上) (光文社文庫)』宮本 輝著

上は宮本輝の『オレンジの壺』の一文。1920年代にヨーロッパについた主人公の女性の祖父が日記に記した部分ですが、駅の情景がよく伝わってきます。そして、日本にいる想っている女性の錯覚も見えるかのような駅の情景。

外国の駅はどこか情緒がありドラマチック。『オレンジの壺』の物語は、パリを中心にエジプトへも飛びます。謎を解いていく内容と、外国が舞台というのも相まって、旅行の供にもピッタリの小説です。

オレンジの壺 上 講談社文庫 / 宮本輝 【文庫】
セントパンクラス駅の改札。北部イングランドへの列車が出る。
Shino
Shino
私も列車旅が好き!車窓を眺めながらサンドイッチを食べるのもいいわよねー!
イギリスの車窓から。

2-2: 映画『ミッション・インポッシブル』(1996)

トム・クルーズ主演の映画『ミッション・インポッシブル』(1996)では、ロンドン・リバプール・ストリート駅やTGVも登場します。後半のTGVでの車内シーンは、ハラハラドキドキで大好きなシーン。列車内での様々な駆け引きなど、まさにエンターテイメントです。

ロンドンにある大きなターミナル駅の一つリヴァプール・ストリート駅

また、個人的に好きなのが、リバプール・ストリート駅のシーンです。イーサンが公衆電話をかけるシーンが、リバプール・ストリート駅ですね。ミステリアスなシーンでこの駅が効果的に使われているのが印象的。

この駅からは、東部イングランド地方にあるケンブリッジ、ノリッジや、南東部コルチェスターなどへの列車が出ています。

スタンステッド空港へもここから電車が出ているので、もし使用する事があれば、ミッションインポッシブルを思い出してみるのも楽しいですね。

Shino
Shino
ミッションインポッシブルはどの作品もいいですが、やはり1作目の内容がスパイという感じで、大好きです。
ヨーロッパ内の電車やバスも予約できる優れものサイトです

2-3: 映画 ハリーポッターシリーズ

ロンドン・キングスクロス駅。ハリーポッターで登場します。

ハリーポッターで登場するのが、ロンドン・キングスクロス駅です。

ここは作中のホグワーツ魔法学校行きの特急列車が発着する駅として有名です。

キングスクロス駅は、第1作からよく登場します。そして、最終作のラストも駅が舞台ですね。

列車に乗ってからのシーンも、シリーズを通して描かれます。

 

Shino
Shino
キングスクロス駅は、柱の中に入っていくあの駅ホームもあるのかしら!!ファンタジーですね!
物語も面白いですが、その舞台設定がとてもいい雰囲気を出しています。 

3. 列車内サスペンスの紹介

アガサ・クリスティーの『オリエント急行』以外にも鉄道サスペンスがあるので、紹介します。魅力はやはり密室空間なので、犯人の特定や駆け引きが面白いですね。

3-1: 映画『カナディアン・エキスプレス』(1990)

列車内サスペンスものでは映画『カナディアン・エキスプレス』(1990)がいいですね。ロッキー山脈を縫うように走る寝台列車の中で起こるサスペンスです。

なんといっても名優ジーン・ハックマンの好演が光ります。深夜の山間の駅や、ロッキー山脈の自然など、ドラマ以外にも旅情漂う作品です。

あらすじ

ロスアンゼルスのホテルの一室。ギャングが起こした殺人事件を目撃した女性が、身の危険を感じてカナダの山奥にある山荘に逃げます。その彼女を法廷に立たせるために、検事(ハックマン)がカナダの彼女を訪れます。しかし、そこにギャングの追手が迫ります。バンクーバー行きの特急列車になんとか逃げ込んだ二人ですが、この列車にも追っての手が。。誰が味方で、誰が犯人なのかがわからない展開が、スリリングです。

Shino
Shino
カナダのロッキー山脈を行く特急列車には、いつか乗ってみたいですね!当ブログでもいつか紹介できたらと思います!

3-2: 映画 トレイン・ミッション (2018)

ニューヨーク近郊電車ハドソン線が舞台の作品で、アクション・ミステリー作品として楽しめます。リーアム・ニーソンはこういったタイプの映画が抜群にいいですね。

リーアム・ニーソンはこういった役がはまります!

あらすじ

元警官の主人公マコーリー(ニーソン)は、10年勤めた保険会社からクビを言い渡されます。その帰りの通勤電車の中で、見知らぬ女性(ヴェラ・ファーミガ)から「ある人物を発見できたら10万ドルを渡す」と言われます。段々と陰謀に巻き込まれる中で、乗客を助けるべく行動に移っていくという内容。ヴェラ・ファーミガも好演です。彼女のファンも多いのも頷けます。

列車アクション/ミステリーの秀作。

Shino
Shino
これはサスペンス!通勤電車が舞台というのもいいですね!面白いですー!

ちょっと記事の趣旨とは外れますが、リーアム・ニーソン主演で、航空機内でのサスペンスもオススメします。

この手の作品が好きな人にはオススメ

3-3: 小説 松本清張『点と線』

日本の電車を舞台とした推理小説といえば松本清張の『点と線』。だいぶ昔の本なので時代設定が今とはもちろん違いますが、いわゆる列車ものの推理小説の代表的な作品です。

 4. 007で登場する列車シーン

007でも効果的に列車が登場します。列車の上でのアクションなどは『スカイフォール』(2012)も凄いですが、ここでは列車内でのシーンにフォーカスします。

4-1:  映画007『ロシアより愛をこめて』From Russia with Love (1963)

まずは『ロシアより愛をこめて』ですね。ショーン・コネリーがボンド役だった頃の傑作。

列車の外観からオリエント急行だと思われますが、ここでもクリスティーの小説同様イスタンブールから発車になります。この車内でのシーンが有名で、映画後半のハイライトです。ボンド映画は、世界各地を旅行気分で観れるのも魅力の一つ。

ここでは列車内の個室や食堂車に注目。個室の仕切りを取ると二人部屋になるのが、面白いですね。食堂車の雰囲気といい、後の豪華列車とは少し違う雰囲気も確かめてみましょう。

Shino
Shino
オリエント急行は憧れますね!ヨーロッパ縦断の旅をしてみたいですね。

4-2: 007『カジノロワイアル』、(2006)『スペクター』(2015)

ダニエル・クレイグ版の007でも、列車がよく登場します。

1作目の『カジノロワイアル』(2006)では、ボンドがモンテネグロに向かう時に特急列車を使います。ここでヴェスパーと会いますね。後の『スペクター』(2015)でも、マドレーヌと共に北アフリカへ向かう際に特急列車が登場します。

ボンド映画でも列車シーンが出てきますが、かっこいい!

どちらの特急列車シーンも食堂車での食事シーンがありますが、まあかっこいいですね。男性はビシッとスーツを着込んで、女性も思いっきりドレスアップして、列車内のレストランで食事なんて最高です。

Shino
Shino
007で出てくる食堂車シーンはとってもいい雰囲気ですね!大好きなシーンです!
これも名作。映画全体に流れる雰囲気がいいですね。

鉄道を舞台にした作品を紹介しました。まだまだありますが、また次回に!

Photo and Writing by Hasegawa, Koichi and Shino

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