音楽と巡る写真紀行:プラス・モンジュ界隈で中世を感じ、カルチェ・ラタンでジャズを楽しむ(パリ)

パリ左岸をブラブラ歩いてみる

音楽と巡るパリの写真紀行:パリ左岸の風とジャズの音色

音楽と巡る写真紀行。今回ご紹介するのは、パリ左岸に広がるプラスモンジュからカルチェ・ラタンまでの魅力的なエリア。石畳の道が続くこのエリアは、どこを切り取っても映画のワンシーンのようなノスタルジックな風景に包まれています。

ムフタール通り界隈での食事は、パリの日常を垣間見るには最高のスポット。地元の人々が集うカフェやレストランでは、ワインを片手にゆったりとした時間が流れます。食事を終えたら、そのままカルチェ・ラタンへ足を伸ばし、歴史ある大学や書店を横目に散策するのも一興です。ときどき立ち止まり、石造りの建物の間から差し込む夕暮れの光を感じながら、パリの時間を味わってみてください。

パリの夜を歩く

そして、パリといえばやはりジャズ。カルチェ・ラタンには、古き良きジャズクラブが点在しています。カフェの喧騒を後にして、ふらりとジャズクラブに立ち寄ってみるのもおすすめです。少し暗がりの中、スモーキーな空気に包まれたステージで流れるジャズの音色は、パリの夜にぴったり。まるで、パリそのものがサックスの音とともに呼吸しているような感覚にさえなります。

後半では、そんなノスタルジックなパリにぴったりなジャズアルバムをいくつかご紹介します。時代を超えて愛されるジャズは、左岸の風景に溶け込むように響き、あなたをより深いパリの世界へと誘ってくれるはずです。

パリ(左岸:プラス・モンジュからカルチェラタンのエリア)

プラス・モンジュで食べ歩き:パリの思い出とプラス・モンジュ界隈の魅力

パリに住んでいた頃、友人たちとよく食事に出かけたのがプラス・モンジュの界隈でした。このエリアには、どこか温かさと親しみやすさが漂い、パリの下町の魅力が凝縮されています。パリを訪れる際には、ぜひこのエリアをぶらりと散策してみてはいかがでしょうか。観光地の華やかさとはまた違った、地元の日常を感じることができます。

学生時代に頻繁に通っていたため、リーズナブルで美味しいお店が多い印象が残っています。特にムフタール通り(Rue Mouffetard)周辺は、活気あふれるストリート。チーズ屋、魚屋、肉屋が軒を連ね、香ばしい香りが漂います。また、レバノン料理などの中東系レストランから、フランスの伝統的なビストロまで、多彩な料理を楽しむことができます。

週末にはマルシェも開かれ、新鮮な食材を求めて地元の人々が訪れる様子は、パリならではの光景です。パリ大学の学生たちや近隣の住民も多く行き交い、賑やかさと落ち着きが混ざり合ったこの場所は、どこかほっとする空間。マドレーヌ界隈の高級食材店が並ぶエリアとは対照的に、プラス・モンジュは素朴で温かみのあるパリを感じさせてくれます。

パリを歩くたびに、プラス・モンジュの風景と人々の姿が頭に浮かびます。学生時代の思い出が詰まったこのエリアは、今も変わらず、その魅力で訪れる人々を惹きつけ続けています。

色々なビストロを食べ歩くのも楽しい

オススメのパティスリーを紹介
カール・マレッティ (Carl Marletti)。フランスの「フィガロ紙」で1位を取ったタルト・オ・シトロン(レモンタルト) ももちろん美味しいですし、チョコレートが大好きな人にはエクレアもオススメ。

場所

この界隈の歴史:ムフタール通りの歴史とパリの別世界を歩く楽しみ

ムフタール通り(Rue Mouffetard)は、パリの歴史の深さを感じさせる古い通りです。中世、パリが城壁で囲まれていた時代、このエリアは城壁の外に位置していました。さらに、19世紀にナポレオン3世のもとで行われたパリの大改造では、主要な区画整備の対象から外れたため、当時の中世の街並みが今もなお多く残っているんです。

パリ中心部は、19世紀に行われた大改造で美観を追求した広々とした大通りが特徴ですが、ムフタール通り周辺は入り組んだ狭い道や曲がりくねった路地が残り、中世の名残が色濃く漂っています。そのため、歩いているだけで時代を遡ったような気分になります。

もちろん、現代的な建物やおしゃれなカフェ、レストランも多く並び、パリらしい洗練された雰囲気も感じられますが、中心部とは一味違ったパリの顔を見せてくれるエリアです。

歴史を肌で感じながら散歩を楽しむにはもってこいの場所ですね。パリ大改造の影響を受けていないこのエリアを歩くと、パリが長い歴史を経てどのように変わってきたのか、その一端を垣間見ることができます。

現代と過去が交錯するムフタール通りは、パリを深く知るための鍵を握る場所。地元の人々と共に、パリのもう一つの顔を楽しんでみてください。

パンテオン周辺。この辺りにはパリ大学もある。

カルチェ・ラタン:学生街の歴史とその名の由来

カルチェ・ラタンといえば、昔からパリの学生街として有名なエリアです。その名前には、長い歴史が隠されています。この名前の由来は、フランス語がまだ統一言語として広く普及する前、中世の時代までさかのぼります。

当時、ヨーロッパ中から知識を求めて集まった学生たちが、このエリアで学んでいました。その際に、彼らの共通の言語として使われていたのが「ラテン語」でした。つまり、このエリアは、ラテン語が飛び交い、学問が盛んに行われていた場所だったのです。そこから「カルチェ・ラタン(ラテン語の街区)」という名前が生まれました。

現在でもパリ大学や多くの研究機関が集まるこの街は、昔と変わらず学生たちで賑わい、学問と文化が息づくエリアとして知られています。歩いていると、歴史の中に浸りながら、活気に満ちたパリのもう一つの顔を感じることができるでしょう。

カルチェラタンの小路で。

パリのジャズクラブを巡る:ジャズクラブ:カヴォー・ド・ラ・ユシェット

パリは昔からジャズが盛んな街として知られています。数多くの名だたるミュージシャンがパリで演奏し、ジャズの魂をこの街に刻みつけてきました。そんなパリには、世界中のジャズファンが訪れる有名なジャズクラブが点在しています。

特に右岸には、多くの伝説的なクラブが集まっています。例えば、シャトレ周辺には世界的に名高いライブハウスがいくつもあり、毎晩ジャズの熱いリズムが響き渡ります。モダンなスタイルから、クラシックなジャズまで、ここでは多様な音楽が楽しめます。

パリの夜、特にこのエリアでは、ジャズがパリの街と溶け合い、独特の雰囲気を生み出しています。フランス文化とジャズの融合を感じながら、音楽とともにパリの歴史を感じることができるでしょう。

カルチェ・ラタンの宝物:カヴォー・ド・ラ・ユシェット

カルチェ・ラタンには、パリのジャズシーンに欠かせないクラブが存在します。それが、1946年にオープンした老舗ジャズクラブであるカヴォー・ド・ラ・ユシェット (Caveau de la Huchette)

このクラブは、数多くの一流ジャズミュージシャンが演奏した歴史を持ち、音楽ファンにとって特別な場所です。壁には名だたるアーティストたちの名前が刻まれ、彼らの演奏がこの場で行われたことを物語っています。

カヴォー・ド・ラ・ユシェットの魅力は、ジャズが生み出す熱気と活気。訪れると、そこには生演奏のリズムが響き渡り、観客たちが一体となって音楽に浸る瞬間が広がります。パリの歴史と情熱が交錯するこの場所で、心温まるジャズの夜を楽しんでみてはいかがでしょうか。

カルチェラタンのエリア

また、映画『ラ・ラ・ランド』(2016)の後半部分で登場する事でも有名になりました。この映画の音楽も素晴らしいので、ぜひ映画の雰囲気にも浸れるサウンドトラックも。

ブラブラとパリの夜を散歩。プラス・モンジュでご飯をしたら、夜カルチェ・ラタンへ繰り出し、ジャズなんてどうでしょう。

オススメのパリ・ジャズ:伝説的なジャズミュージシャン達

「パリのジャズ」と聞いて、まず思い浮かぶのはジャンゴ・ラインハルトでしょう。彼は伝説的なジャズギタリストとして、ジャズの歴史に名を刻んでいます。彼の音楽は、パリの心を映し出すような独特のスタイルで、多くの人々を魅了してきました。

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また、シドニー・べシェも忘れてはいけません。彼は、ルイ・アームストロングと並ぶジャズの巨匠であり、特にクラリネットの音色は一度聴くと心に残ります。映画『ミッドナイトインパリ』のサウンドトラックにも収録しているSi tu vois ma mereはパリの雰囲気にばっちり。

古い録音でありながら、オシャレでカッコいいそのサウンドは、パリの街を歩く際にぴったりのBGMとなるでしょう。

これらのアーティストたちの音楽は、パリの魅力をより一層引き立ててくれます。彼らの作品を通じて、ジャズがもたらす情熱と魅力に触れてみてください。

Photo and Writing by Hasegawa, Koichi

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