旅する美術史:ストラスブール大聖堂を歩く ロマネスクとゴシックが交わる中世建築の傑作
はじめに
ストラスブール大聖堂――その名を聞けば、多くの人がフランス中世建築の傑作を思い浮かべるでしょう。
この大聖堂の魅力は、単に巨大で華麗だというだけではありません。
そこには、ロマネスクからゴシックへと移り変わっていく中世ヨーロッパの建築史そのものが刻まれています。
一歩足を踏み入れると、高く伸びるアーチ、複雑に組み上げられた構造、そして光を受けて輝くステンドグラスが、見る者を圧倒します。
外観の華やかさと、内部空間の緊張感。
この大聖堂は、祈りの場であると同時に、人間の技術と想像力がどこまで天へ向かえるかを示した建築でもあります。
しかもストラスブールという町そのものが興味深い。
フランスでありながらドイツ文化とも深く接し、アルザス地方ならではの独特の歴史を持つこの町では、建築もまた単純な「フランスらしさ」だけでは語れません。
だからこそ、この大聖堂を訪ねることは、単にひとつの名建築を見ることではなく、中世ヨーロッパの文化が交わる場所に立つことでもあるのです。
今回は、フランス東部の美しい町ストラスブールを訪ねながら、ノートルダム大聖堂の建築的な魅力を、旅する美術史としてたどってみたいと思います。
ストラスブール――パリから2時間で届く境界の町
ストラスブールは、フランスとドイツの国境に近いアルザス地方の中心都市です。
パリ東駅からTGVに乗れば、およそ2時間。
日帰りも不可能ではありませんが、この町の魅力を味わうなら、やはり一泊してゆっくり歩きたいところです。
運河沿いの旧市街、木組みの家々、アルザス独特の食文化。
そして町のどこを歩いていても、視界のどこかに現れる大聖堂の尖塔。
ストラスブールは、町全体が大聖堂を中心に呼吸しているように感じられる場所です。
ストラスブールの場所




コメントを残す