今回のテーマは、「プルースト効果」とクロックムッシュ。なんのこっちゃっ?という感じだが、お付き合いいただきたい。
ちなみに、プルースト効果とは、あの20世紀を代表する小説家であるマルセル・プルーストからくる。それと、クロックムッシュは、ご存知の方もいらっしゃるかもしれないが、フランスで人気の軽食。日本でも、パン屋さんやフレンチビストロなどでもよく見かける。
パリでオススメのカフェの一つ『ル・ヌムール』
いきなりですが、今回の舞台であるパリでオススメのカフェの一つ『ル・ヌムール』を紹介。
パリには沢山のカフェがあるが、ルーブル美術館界隈の有名なカフェの一つで、使い勝手もよいル・ヌムールは、個人的によく使うカフェ。ルーブル美術館にも近く、オペラ座からも歩いて行ける距離にあるため、パリが初めての人もすぐに見つけられる。
本場のクロックムッシュをパリの雰囲気の中で食べれるし、ルーブルを見る前などに便利。気兼ねなく旅行ができるようになったら、また行きたいカフェだ。
場所はこちら
ル・ヌムールでオススメのメニュー:クロックムッシュ
さて、朝食やランチを軽くしたいときなどは、このカフェでよくクロックムッシュをいただく。
クロックムッシュの簡単なレシピと作り方を書くと、まずフランスの食パン (パン・ド・ミ) にハム、チーズを挟み、それにベシャメルソースを塗る。それからパンの表面を少しカリカリになるようにフライパンで焼いて出来上がりだ。フランス版のファーストフードと言っていいだろう。
ポイントはベシャメルソースかもしれないが、クックパッドやネットを見ると、自宅でも作っている方も多そう。これもまた楽しいかもしれない。
また、クロックムッシュに目玉焼きをのせたものが、クロックマダムと呼ばれる。目玉焼きが好きな方には、こちらも人気がある。
ともあれ、カフェやブラッスリーによって、色々なタイプのクロックムッシュがあるので、食べ歩くのも面白い。
クロックムッシュとマルセル・プルーストの関係
パリには美味しい物が溢れているが、
「これを食べたらパリを思い出す」
という物を旅行中に作るのも面白くないですか?これが今回のテーマ。
パリの高級レストランでの食事は、確かにパリの味かもしれないが、現地のレストランでしか味わえない。
そこで、帰国後も比較的簡単に食べられるものをテーマに、パリを食べ歩くというはどうでしょう。クロワッサンやマカロンなどもいいが、ここはクロックムッシュといきたい。パリの味をクロックムッシュに託すというわけだ。現地でも手軽に食べられるし、帰国後にも食べられる。クロックムッシュがパリを思い出すのに一役かうというわけだ。
なぜクロックムッシュかって?ここでプルーストが登場する。
プルースト効果って?
ところで、「プルースト効果」という言葉があるのをご存知だろうか。これは、マルセル・プルーストの大長編小説である『失われた時を求めて』の始まりの部分に由来する。
それは、小説の主人公である「わたし」が、紅茶に浸したプティット・マドレーヌを口にした瞬間、過去の思い出を鮮やかに思い出すという場面。
とても素晴らしく、美しい文章で書かれている名シーンだ。
人間の五感は、記憶が伴っているという。特に嗅覚や味覚は、過去の記憶と強く結びついているそうだ。簡単にいうと、これがプルースト効果ということらしく、研究も進んでいるそう。
味や香りなどから過去を思い出すといった経験は、誰しもないだろうか。
僕の経験でも、ムサカを食べると、ギリシャに行った時を思い出すし、クロックムッシュを食べると、やはりパリを思い出す。
また、聴覚の場合だと、例えば、旅行中によく聴いていた音楽を後で聴くと、「あの時の旅」を思い出すというのはよくある。ちなみに、村上春樹の「ノルウェイの森」もビートルズの曲を耳にした瞬間、過去の事を思い出すところから始まるのと同じだ。
実は、クロックムッシュもプルーストの「失われた時を求めて」の「花咲く乙女たちのかげに」に登場する。よってクロックムッシュとプルーストにも接点があるわけだ。
この点があるので、ちょっと強引にクロックムッシュを持ってきたという訳です。
是非パリに行ったら「ル・ヌムール」で一休みしながらクロックムッシュを!
マルセル・プルーストの世界:20世紀最大の作家への旅
マルセル・プルースト(1871-1922)はフランスのみならず、よくジョイスとカフカと並び称され、彼らと共に20世紀を代表する作家として有名だ。『失われた時を求めて』は、世紀の大傑作として、文学史に燦然と輝く。
この大作は、読まれたことがある方は思ったであろうが、とにかく長くて難解である。また、センテンスが長いのでも有名な小説だ。
だが、この夢うつつな感じ、マドレーヌから幼少期を思い出すくだりや、社交界、ベルエポックのパリなど、とにかく魅力が多い。オススメの小説。
プルースト関連でオススメの本
入門として、コミックでこの20世紀の大作を読むのもオススメ。↓
解説を読んでから本編に入るのもオススメの読み方。僕は、これを読んでからプルースト本編に挑戦しました。とてもわかりやすく、プルーストの入門編に最適。↓
「失われた時を求めて」に挑む前にもオススメの一冊。短編集なので、読みやすいが、そこはさすがプルースト。彼ならではの心理眼というか、探究心というものがここには既にある。オススメ。↓
最後に紹介する本が、「プルーストの記憶、セザンヌの眼」。僕のプルーストとの出会いになった一冊で、刊行当時、アメリカでも話題になった本。あらゆる芸術を脳科学の視点で読み解く。僕はセザンヌが目当てでこの本に入ったが、何しろ全て素晴らしかった。エスコフィエやプルーストの部分もとても面白い。↓
Photo and Writing by Hasegawa, Koichi, and Shino
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