今回はパリ散歩としてフランス式の庭園を紹介します。

フランスの庭園といえば、ヴェルサイユ宮殿の広大な敷地にある庭園を想像しますよね。今回は、ヴェルサイユに代表する「フランス式庭園」のひとつとして、パリにあるチュイルリー公園(テュイルリー公園とも記載される)Jardin des Tuileries(フランス語)取り上げます。

今後パリへ行きたい方や既に行ったことがある方、今ヨーロッパ在住の方は、「ああ、あれがフランス式っていうんだ」って知っていただけると思います。

チュイルリー公園の場所
パリ中央に位置するチュイルリー公園。この公園をわざわざ目指して行くというより、ルーブル美術館やコンコルド広場に行くついでに散策するという場合が多いと思います。

この公園は、セーヌ川に面しており、東にルーヴル美術館、西にシャンゼリゼ通りとまさにパリの中心。
気分によって、ここからシャンゼリゼへ向かってもよし、ルーブルへ向かってもよし。セーヌ川を眺めるのもいいですね。合わせて、ここからのエッフェル塔の眺めも最高です。

このパリ中心にあるチュイルリー公園は、代表的なフランス式庭園のひとつとして知られます。では、フランス式とはどのような庭園を言うのでしょうか。
チュイルリー公園は「王者の庭師」がデザインしたフランス式公園だ
チュイルリー公園は、ルイ14世の元でヴェルサイユ宮殿の庭園をデザインした『王者の庭師』と呼ばれたアンドレ・ル・ノートル (1613-1700) によって17世紀に作られました。フランス式庭園は彼によって完成された庭園となります。

フランス式庭園とは
フランス式庭園は、平面幾何学式庭園とも呼ばれます。
特徴として、宮殿を中心に中央に軸となる道があり、軸線沿いには左右対称的にレイアウトされています。

また、整然と並列に整えられた樹木の列が庭園を囲っているのも大きな特徴です。
庭園内の木、垣根、低木、芝生などは庭師の手できちんと剪定されています。
イギリス式庭園は、自然景観を追求したものですが、フランス式は、まるで自然さえも人間の計算の上でコントロールしているかのような考えの元作られています。

ルイ14世などに代表される権力者が、「自然をも我が物かのように見渡せるよう」、との考えの元デザインされているのかもしれませんね。
オススメの書籍紹介:「フランス庭園の旅」
フランス各地にあるお庭を紹介している一冊。フランス式の庭園は、ル・ノートルの庭園を紹介しましたが、この本を見ると他にもたくさんのフランス庭園があるのに気がつきます。ガーデニングをはじめ、お庭が好きな方、またフランスが好きな方には特にオススメの一冊。

さあ、少し公園内を散策してみましょう。まずは公園の東側です。まずカルーゼル凱旋門があります。これはナポレオンの勝利を祝し1806-08年に建造されたもの。そして、この奥にはルーブル美術館があります。


チュイルリー宮殿:現存しない宮殿に歴史のロマンを感じる
現在はないですが、カルーゼルの凱旋門のすぐ近くにチュイルリー宮殿がありました。
この宮殿は、フランス王アンリ2世の王妃であったカトリーヌ・ド・メディシスが1563年に建造を命じ、以降100年もかけて建設が続けられました。100年もかかったというのが、宮殿の規模をあらわしていますよね。
その後、ルイ14世は庭園とともに宮殿の整備を命じますが、王族の居城はヴェルサイユへ移り、王室がチュイルリーへ戻ってきたのは後のフランス革命時になります。
革命時からのし上がってきたナポレオンは、チュイルリー宮殿を自らの公邸とします。その後第二帝政期にはナポレオン3世が公邸とし、この華やかな宮殿では数々の外交の舞台となりました。
様々な歴史の舞台になったチュイルリー宮殿ですが、パリコミューン時の1871年に焼失してしまいます。今も現存していたらと考えると面白いですね。

オランジュリー美術館でモネの睡蓮に浸る
モネの睡蓮で有名なオランジュリー美術館も公園内にあります。ここは是非訪れておきたいですね。

オランジュリーにある睡蓮の大壁画ですが、必見の作品です。晩年のモネが戦争で疲弊していたパリの民衆へ贈った傑作。彼はジヴェルニーでたくさんの睡蓮を描きますが、オランジュリーの大作がその集大成と言っていいでしょう。素晴らしい作品です。
※ モネに関しては違うブログにも書いてみたので、よかったら。
ここではオランジュリーの建物について少し紹介します。
まず名前から想像するかもしれないですが、もともとはオレンジ、つまり柑橘系の果物のために建てられた建物です。ナポレオン3世はルーブルのグランドギャラリーにあったシトラスの木を庭園に移そうと計画しますが、冬の寒さに耐えうる建物が欲しいという事になりました。そこで建てられたのが、オランジュリーの起源になります。1852年に建てられ、その後は音楽会や展覧会などの目的で使用され、1922年のモネの睡蓮を経て、美術館となりました。

チュイルリーの片隅にあるので、ぜひここで芸術に浸りたいですね。
参考)モネの睡蓮について知りたい方にオススメの一冊です。オランジュリーの睡蓮への過程がわかります。
庭園からフランス人の心を感じる
フランス人は、先祖の土地を守る意味でも庭に特別な感情を持っていたそうです。
旅の始まりにチュイルリー公園を散策し、そうしたフランス人の心に触れてみるのもいいですよね。

Photo and Writing by Hasegawa, Koichi and Shino
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