はじめに
このページでは、『美術史講座「モネの名画と日本美術の響き』で紹介した作品や参考作品をリストアップしてあります。
ご自身のスマホやパソコンでの絵画鑑賞にお役立てください。
後半に参考文献(おすすめ書籍)と年表を載せてあります。合わせてご参照ください。
本講座の概要
本講座では、クロード・モネ (1840-1926) の芸術をより深く味わい、その魅力を探求していきます。モネの作品を時系列で見ながら、主に以下のポイントを通して彼の魅力に迫ります。
- 光と時間の表現:刻々と移り変わる光をキャンバスにとどめる技法
- 描かれたモチーフと時代背景:セーヌ川、水面、睡蓮…印象派誕生の時代とモネの挑戦
- 日本美術との出会い:ジャポニスムがモネの芸術に与えた影響
はじめに
ティッツィアーノ『バッカスとアリアドネ』1520年-1523年、油彩、キャンバス、176.5 ×191cm ナショナル・ギャラリー(ロンドン)
『睡蓮』1908年、油彩、キャンバス、101.0×90.0cm。東京富士美術館(八王子)
印象派誕生前夜
『ラ・グルヌイエール』(1869年) 油彩、キャンバス、74.6 × 99.7 cm。メトロポリタン美術館蔵 (ニューヨーク)
印象派の誕生とモネの革新
『印象・日の出』(1872年)油彩・キャンバス、48 × 63 cm、マルモッタン・モネ美術館蔵(パリ)
光と時間の表現:連作の登場
『ルーアン大聖堂:朝の効果』1894年。油彩、キャンバス。J・ポール・ゲティ美術館(ロサンゼルス)
『ルーアン大聖堂、日没(灰色とピンクのシンフォニー)』1892 – 94年。油彩、キャンバス、100 × 65 cm。カーディフ国立博物館 (ウェールズ、イギリス)
『ルーアン大聖堂:西ファサード』1894年。油彩、キャンバス、100.1 × 65.9 cm。ナショナルギャラリー(ワシントンDC)
『扉口とサン=ロマン塔、陽光』1893年。油彩、キャンバス、107 × 73.5 cm。オルセー美術館(パリ)
『積みわら – 夏の終わり』1890年 – 1891年、油彩、キャンバス、60 x 100 cm 。シカゴ美術館(シカゴ)
『積みわら、雪と日光の効果』1891年。油彩、キャンバス、65.4 × 92.1 cm。メトロポリタン美術館(ニューヨーク)
日本美術との響き:浮世絵の影響と1889年パリ万国博覧会、そして林忠政 (1853-1906)
『アンティーブ岬』1888年、油彩、キャンバス、65.5 × 92.4。コートールド・ギャラリー(ロンドン)
歌川広重『上総鹿埜山(かずさかのうざん)冨二三十六景』1858年、大判35 × 23.5 cm。
『積みわら – 日没』1890年 – 1891年、油彩、キャンバス、ボストン美術館(ボストン)
葛飾北斎『凱風快晴』1830年-1834年頃、多色刷木版画、25.0 × 36.8 cm
葛飾北斎『東海道程ヶ谷(とうかいどうほどがや)冨嶽三十六景』1830年-1834年頃、多色刷木版画。25.7 cm × 37.7 cm
『4本の木(ポプラの木シリーズ)』1891年、油彩、キャンバス、81.9 x 81.6 cm。メトロポリタン美術館(ニューヨーク)
ジヴェルニーと『睡蓮』連作
『睡蓮の池、緑のハーモニー』1899年。油彩、キャンバス、89.5×92.5。オルセー美術館(パリ)
『睡蓮の池』1899年。油彩、キャンバス、88.3×93.1。ナショナルギャラリー(ロンドン)
『睡蓮』1903年。油彩、キャンバス、81.5 × 100.5 cm。アーティゾン美術館(東京)
歌川広重『名所江戸百景 亀戸天神境内』1856-1859。大判 錦絵. 36.8×25.1cm
『睡蓮の池、バラ色の調和』1900年。油彩、キャンバス、90 × 100.5 cm。オルセー美術館(パリ)
『睡蓮の池』1907年。油彩、キャンバス、100 × 73 cm。アーティゾン美術館(東京)
『睡蓮』1903年。油彩、キャンバス、81.3 x 101.6 cm。デイトン美術館(オハイオ、アメリカ)
『睡蓮:朝』1920−1926年。200 × 1,275 cm。オランジュリー美術館 第1室(パリ)
『睡蓮:朝の柳』1920−1926年。200 × 1,275 cm。オランジュリー美術館 第2室(パリ)
参考文献
モネ芸術への理解を深めてくれる書籍をリストアップしました。
- 図説 モネ「睡蓮」の世界 安井 裕雄 (著)
- モネ作品集 安井 裕雄 (著)
- もっと知りたいモネ 改訂版アートビギナーズコレクション 高橋明也(監修)安井 裕雄 (著)
- 印象派の歴史 ジョン・リウォルド(著)
- まなざしのレッスン2 三浦篤(著)
- 西洋美術史ハンドブック 高階秀爾(著)三浦篤(著)
- 大人のための印象派講座 三浦篤(著)
- セルジュ・ルモワンヌ他 編『大回顧展 モネ』(展覧会図録)、読売新聞東京本社発行、2007 高階秀爾「日本から見たモネ」
- モネ睡蓮のとき(展覧会図録)
- モネ 連作の情景(展覧会図録)
- 原田マハさんの小説ですが、雰囲気もよくモネの世界を堪能できます。
年表
西暦 |
元号(日本) |
出来事 |
備考 |
1840年 |
天保11年 |
クロード・モネ誕生 |
フランス・パリ生まれ。 |
1853年 |
嘉永6年 |
ペリー来航、日本が開国 |
日本美術が欧州へ流れるきっかけに。1858年日仏修好通商条約 |
1867年 |
慶応3年 |
パリ万国博覧会(日本初参加)、大政奉還、坂本龍馬暗殺 |
日本の工芸・浮世絵が西洋に衝撃を与える/ 江戸幕府終焉 |
1868年 |
明治元年 |
明治維新。明治政府が樹立。 |
西洋化と近代国家化が進む |
1870年代 |
明治初期 |
ジャポニスムがフランスで流行 |
モネやドガ、ゴッホらが影響を受ける |
1871年 |
明治4年 |
モネ、ロンドン滞在。日本では廃藩置県。 |
日本美術に触れる機会が広がる |
1874年 |
明治7年 |
第1回印象派展 |
モネ《印象・日の出》出品、印象派の名前の由来に |
1876年ごろ |
明治9年 |
モネ、浮世絵を本格的に収集開始 |
広重、北斎などを好む |
1883年 |
明治16年 |
モネ、ジヴェルニーに移住 |
庭園を自ら設計・造園開始 |
1889年 |
明治22年 |
パリ万国博覧会(エッフェル塔完成) |
日本館が好評 |
1890年 |
明治23年 |
パリで「日本版画展」開催 |
モネや他の印象派画家が浮世絵の構図や色彩に影響を受ける |
1890年代 |
明治後期 |
モネ、日本庭園を完成させる。日清戦争(1894−1895) |
太鼓橋、睡蓮の池を含む庭園を造園 |
1900年 |
明治33年 |
パリ万国博覧会 |
日本の美術・工芸が世界から注目される |
1910年 |
明治43年 |
日本で文展(文部省美術展覧会)開始。韓国併合。 |
日本の近代美術の成長と西洋化 |
1912年 |
明治45年/大正元年 |
明治天皇崩御、大正時代へ |
睡蓮シリーズに専念 |
1914-15年 |
大正3年ー大正7年 |
第一次世界大戦 |
モネは戦況が悪化する中で、フランスを励ますため睡蓮の作成に専念する。 |
1926年 |
大正15年/昭和元年 |
モネ死去(86歳) |
ジヴェルニーにて死去 |
講師について
長谷川浩一
イギリスのノッティンガム大学および大学院で西洋美術史を専攻し、ヴェネツィア・ルネサンス美術を研究。ヨーロッパ各地を巡り、その街の空気や文化、歴史を感じながら美術史の研鑽をする。
主な研究:
- ルネサンス精神の普遍性についての研究と考察。
- ヴェネツィア:東方との関係はどのようにヴェネツィア建築に現れているか。To what extent did Venice’s link with the East determine its urban iconography?
- 15-16世紀ドイツの宗教改革時の芸術とイタリアルネサンスの相違についての研究。
- ピカソが台頭してきた時にとったマティスの動向についての研究。
- JMWターナーの水彩画についての研究。“Leeds” 1816
- フランス第二帝政時代における政治と美術館の関係について。
- マネ「フォリーベルジェール劇場」の分析。“A bar at the Folies-Bergere”, 1882
- マネ「皇帝マクシミリアンの処刑」再考察。“The Execution of Emperor Maximilian”, 1867-69
など
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