好きなエアポートシリーズ。
今回は、フランスの空の玄関口、シャルル・ド・ゴール空港である。
空港という場所には、いつも独特の高揚感がある。
出発する人、到着した人、乗り継ぎを待つ人。大きなスーツケースを引く音、案内放送、出発便の表示、ガラス越しに見える飛行機。
旅は、目的地に着いてから始まるようでいて、実は空港に入った瞬間からもう始まっている。
シャルル・ド・ゴール空港は、僕にとっても何度も使ってきた思い出のある空港だ。パリへ向かうときも、イギリスからフランスへ移動するときも、この空港を通るたびに、旅の空気が少し変わる。
フランス語の案内表示、免税店の光、カフェの香り、そしてどこか無機質でありながら不思議に格好いいターミナルの建築。
ここは、単なる移動の場所ではない。
パリへ入る前に、旅人の気持ちを少しずつフランスへ切り替えてくれる場所である。
フランスの空の玄関、シャルル・ド・ゴール空港
シャルル・ド・ゴール空港は、パリ北東部のロワシーにある。
そのため、フランスではロワシー空港と呼ばれることもある。正式な名前よりも、地名で呼ばれる感じが、少し現地らしくていい。
パリには古くからオルリー空港があるが、大型機の時代、大量輸送の時代に対応するため、1960年代から新しい国際空港の建設が進められ、1974年にシャルル・ド・ゴール空港が開港した。
現在では、ヨーロッパを代表する巨大空港のひとつであり、世界中から多くの旅人がこの空港に降り立つ。
日本からパリへ向かう場合も、まずこの空港に到着する人は多いだろう。
長いフライトを終えて、飛行機の扉が開き、ターミナルへ入る。その瞬間、少し疲れていながらも、胸の奥に「パリに来た」という感覚が湧いてくる。
空港は、街そのものではない。
けれど、街へ入る前の大切な前奏のような場所である。
パリ市内へ向かう時間
シャルル・ド・ゴール空港からパリ市内へ向かう方法はいくつかある。
RER B線を使えば、パリ北駅や市内中心部へ向かうことができる。空港から鉄道に乗り、少しずつパリへ近づいていく時間には、独特の旅情がある。
かつては、オペラ座方面へ向かうロワシーバスにもよく乗った。
大きな荷物があっても比較的使いやすく、空港からパリの街へ少しずつ入っていく感じが好きだった。オペラ座近くに到着すると、「ああ、パリに戻ってきた」と感じたものだ。
ただし、ロワシーバスは現在は運行されていない。今となっては、僕にとってはシャルル・ド・ゴール空港とパリの記憶をつなぐ、少し懐かしい移動手段になっている。
タクシーを使えば、荷物が多いときや、到着直後で疲れているときには安心感がある。
いずれの方法を選んでも、空港からパリ市内へ向かう時間は、旅の大事な一部だと思う。
窓の外を眺めながら、これから行く場所のことを考える。ホテルへ向かうのか、まずカフェに入るのか、ルーヴルへ行くのか、セーヌ川沿いを歩くのか。
空港から街へ向かう道のりには、旅の期待が詰まっている。
建築として楽しむシャルル・ド・ゴール空港
シャルル・ド・ゴール空港の魅力は、利便性だけではない。
建築として眺めても、とても面白い空港である。
特に印象に残っているのが、第1ターミナルだ。
第1ターミナルは、シャルル・ド・ゴール空港の中でも最も古いターミナルで、1970年代の近未来的な雰囲気を今も残している。
円形の構造、コンクリートの質感、チューブ状のエスカレーター。現在の洗練された空港建築とは少し違う、レトロ・フューチャーな魅力がある。
いかにも「未来の空港」を夢見ていた時代の建築という感じがする。
空港の建築には、その時代の未来観が表れる。
第1ターミナルを見ると、1970年代の人々が考えていた国際空港、飛行機旅行、未来都市のイメージが少し見えるような気がする。

第1ターミナルの懐かしい未来感
第1ターミナルを手がけたのは、フランスの建築家ポール・アンドリューである。
円筒形の建物と、内部を立体的に交差するチューブ状のエスカレーターは、このターミナルを象徴する光景だ。
初めて見たとき、少し古いのに、妙に格好いいと思った。
最新の空港のようなきらびやかさとは違う。けれど、どこかSF映画のセットのような、不思議な魅力がある。
僕はこの第1ターミナルが好きだ。
日本発着の全日空を利用するときや、イングランド中部からフランスへ飛ぶときなど、何度かこのターミナルを使った。そのせいもあって、ここには個人的な旅の記憶が重なっている。
空港は、何度も通ると、自分の記憶の中の地名になっていく。
第1ターミナルの待合に座っていると、過去の旅の断片がふと戻ってくることがある。
出発前の少し落ち着かない時間。窓の向こうの飛行機。搭乗開始を待つ人たち。そういう何気ない時間も、旅の記憶の一部になっている。









コメントを残す