スイス・アルプスへの旅:登山の魅力とアイガーの伝説
スイス・アルプスは、息をのむような美しい風景と共に、登山者にとって夢の舞台である。特に名峰アイガーは、その険しい姿と歴史的な登山史によって、多くの冒険者を魅了してきた。この山は、壮大な氷河や深い渓谷に囲まれ、登山の醍醐味を存分に味わえる場所である。アイガーの登頂を目指すことは、単なるスポーツではなく、挑戦と感動の旅である。
スイスの大自然の中で、登山を通じて自分を試し、限界を超える喜びを体感することは、心と体の両方を豊かにしてくれる。美しい山々に囲まれ、鮮やかな草花や透き通った湖を眺めながらのトレッキングは、日常を忘れさせるものである。
さあ、アイガーの素晴らしさとスイスの魅力を再発見する旅に出かけてみよう。
グリンデルヴァルト
アイガー北壁をグリンデルヴァルトから眺める
「あれがアイガーの北壁か」
アルプスの山々を越えて登山鉄道が進むと、眼前に壮大なアイガーとその名高い北壁が姿を現す。まさに絶壁であり、そそり立つ岩壁は神々しさを漂わせている。
その1800メートルに及ぶ岸壁は、「ノースフェイス」や「死の壁」とも呼ばれ、登山者たちにとってはまさに挑戦の象徴である。登山鉄道は、やがてグリンデルヴァルト駅に到着する。この美しい村は、名峰アイガーの麓に広がっており、ここからはゆっくりとアイガーの姿を楽しむことができる。村人たちは、北壁を登る冒険者たちを双眼鏡で見守っていたという。
私は、異なる場所から様々な角度でこの山を眺めてみる。アイガーの3967メートルの標高は、富士山を超える高さで、圧倒的な存在感を放っている。
アルプス三大北壁
アルプスには3つある難関登頂ルートが有名だ。それはアルプス三大北壁として知られる。
1つ目はフランスとイタリアの国境にまたがるモンブラン山系にあるグランド・ ジョラス。4000メートルをゆうに越える山々が連なる難関。2つ目は有名なマッターホルン北壁。そしてアイガー北壁だ。
アイガーの登頂史
アイガーの初登頂は1858年にアイルランド人のチャールズ・バリントンによって成し遂げられるが、北壁からの登頂には時間を要した。それは1934年から試みられるが、墜落や凍死などで失敗。後に映画や小説になった有名な1936年の悲劇的な失敗もあった。
この事故以降、一時登頂を試みること自体が禁止になった。
その後初登頂が成し遂げられたのは1938年。ドイツとオーストリアのチームによって達成される。
快挙であった。
その後も数々の登頂史を刻むが、その中には日本人の登頂達成者も何人かいる。
新田次郎が小説に書いた「アイガー北壁」では、日本人登山家の模様を描いているため、アイガーに行くときに読んでみるのもいい。また、映画「North Face」は、上記の1936年の有名な遭難を描いており、アイガーの美しさとともにその厳しさをも描く。
アイガーを眺める:山岳写真の魅力
僕がインターラーケンからグリンデルヴァルトへ入ったのは、ある夏の日の昼頃だった。村を散策し、ハイキングコースであるフィルストへ行って午後いっぱい使ってハイキングをしながら、時折アイガーを眺める。見るたびにその雄大な姿にしばし心を奪われた。
夕刻になると、アイガーの色合いが刻々と変化するのを見に村はずれへ向かった。その神秘的な変化に心を奪われ、思わず足を止める。この美しい瞬間を写真に収めた。
夕日がゆっくりと沈んでいく中で、アイガーが佇む姿を見ると、広大な宇宙の存在を感じさせられる。その厳かで揺るぎない姿は、神々しささえも漂わせている。自然の力は、かくも偉大で大きいものだ。
この日、アイガーの北壁は特に美しく光り輝き、まるで自然が創り出した芸術作品のように目を奪われた。
登山家植村直己を想う
登山家であり、冒険家の植村直己が書いた『エベレストを越えて』という一冊がある。
これはエベレスト登山の記録としても、読み物としても、旅の紀行文としても名著で、登山愛好家はもとより旅を愛する全ての人にオススメの一冊だ。
僕はヒマラヤは見たことがないが、スイス・アルプスの雄大さは何度も感じている。『エベレストを越えて』を読んでいると、僕が見た中で一番険しい山々であるアルプスを思い出される。そして、それはいつも険しいアイガーの北壁を思い出すのだ。
登山映画の傑作『アイガー北壁』
先ごろ登山映画の傑作として名高い『アイガー北壁』(2008)を鑑賞した。
高い山やそこを目指す登山家達の挑戦には以前から胸を躍らせたが、この映画からはその厳しい環境下で挑戦するクライマー達の臨場感がすごく伝わってくる。
様々な実話をもとに初登頂を目指すドイツ人パーティを描く。現地に行ったことがある方も、今後行ってみたい方、あるいは登山映画が好きな方にもオススメの映画だ。
山を舞台にした映画オススメ
まずは『エベレスト』(2015)。これは1996年に実際に起こった遭難事故を描いた映画で、エベレストの迫力が伝わってくる。
僕にとってこの手の映画でまず思いつくのが、『クリフハンガー』(1993)。登山映画というよりは、山岳地帯を舞台にしたアクション映画。シルヴェスター・スタローン主演の大ヒット映画。山岳地の厳しさをよく取り入れたアクションで、面白い一本。
有名な『八甲田山』(1977)も外せない。新田二郎の小説をもとに高倉健主演。僕は東北出身で、八甲田へは何度か行った事があるが、あの自然環境をよく表現している。日本映画の傑作のひとつだ。
アイガーへの行き方
アイガーへのアクセス方法は、主に以下のルートを通じて行えます。
1. インターラーケンからのアクセス
インターラーケンは、アイガーへの重要な拠点です。インターラーケンからは、以下の手順でアイガーに近づくことができます。
- 列車での移動: インターラーケン・オスト駅から、まずはグリンデルヴァルト行きの列車に乗ります。約30分ほどでグリンデルヴァルトに到着します。
- グリンデルヴァルトからの登山鉄道: グリンデルヴァルトからは、アイガー・グレッチャー行きの登山鉄道に乗り換えます。この鉄道は、美しいアルプスの風景を楽しみながらアイガーに近づくことができます。
2. クライネ・シャイデック経由
- クライネ・シャイデック駅: グリンデルヴァルトからアイガー北壁を間近に見ることができるクライネ・シャイデックに向かうことも可能です。クライネ・シャイデックは、アイガーの登山口として知られています。
- 登山トレイル: クライネ・シャイデックからは、アイガーを目指してハイキングを楽しむことができます。
3. 自家用車やレンタカー
スイス国内で車を利用する場合、インターラーケンからグリンデルヴァルトまでは約20分程度のドライブで行けます。ただし、アイガーの周辺には駐車場が限られているため、公共交通機関を利用することをお勧めします。
参考リンク
詳しい情報や運行時刻については、スイス連邦鉄道(SBB)の公式ウェブサイトや、観光情報サイトをチェックすることをおすすめします。
これらの情報を参考に、アイガーへの訪問を計画してみてください。壮大な自然の中での冒険が待っています!
Photo and Writing by HASEGAWA, Koichi