今回紹介するのは、フランス東部にあるストラスブールにある大聖堂。
フランスには建築の傑作が多いです。中でもパリやルーアン、シャルトルなどにある大きなゴシック聖堂は、見応え抜群です。
また、ゴシックよりも前の様式であるロマネスク建築の建築物も素晴らしいですね。
こうした中世の建築は重厚かつ迫力があり、我々日本人の目にも魅力的に映ります。
実は、ストラスブール大聖堂は、ロマネスクとバロック両方の様式が同居しているんです。ここが興味深い点ですね。
ストラスブール:パリから行くドイツ国境の街
ストラスブールは、フランスとドイツの国境にある美しい街です。パリ以外の地方も観光してみたいといった方や、有名な大聖堂を見たいという方にはとってもオススメの街。
ストラスブールへはパリ東駅からTGVに乗って約2時間ほどの距離。パリ、あるいはドイツ側から日帰りも可能ですが、出来れば宿泊して、ゆっくり散策したいですね。アルザス地方への旅は、フランス観光の中でもハイライトの一つになること間違いなしです。
ストラスブールの場所
ゴシック建築の傑作:ノートルダム大聖堂を見る
ストラスブールの街中を歩いていると、建物の間から凄い迫力で巨大な建造物が現れます。この街を代表するランドマークであるノートルダム大聖堂です。
尖塔の高さは中世に作られたものでは最高で142mもあります。1874年にハンブルクに作られた聖ニコライ教会に抜かれるまで、世界1の高さの建築物でした。
ゲーテはこの大聖堂を「荘厳な神の木」と称え、またヴィクトル・ユゴーは「巨大で繊細な驚異」と表現しました。
1176年に着工され、1439年に数百年を経て完成します。ヴォージュ山脈から切り出した赤の砂岩で作られているため、赤みがかかった外観が特徴的。
※フランスに点在するゴシック建築を巡る一冊。
ゴシック建築の特徴のひとつ「装飾」を見る
ゴシック建築の特徴のひとつは、装飾にもあります。
ゲーテが絶賛した西側の壁は、膨大な数の彫刻で覆われています。ここではゴシック建築の傑作と呼ばれるストラスブールの装飾を楽しみたいですね。
ロマネスク様式とゴシック様式の共存
ロマネスク様式という名前自体は、もともと「ローマ風」といった感じの造語で、フランスの考古学者ド・ジェルヴィル(1770-1853)に端を発します。
ロマネスク様式の特徴としては、半円アーチや分厚い壁などがあげられます。また、装飾性があまりなく、重い印象があります。「古代ローマ風の様式」が、ロマネスクと呼ばれる様式になりますが、簡単に言うと古代建築のような重厚感が特徴になるかと思います。
ストラスブール大聖堂の建築当初は、ロマネスク様式で建築が進められました。建物の北側や中央身廊部あたりは、ロマネスク様式の影響が見られます。
西側をはじめ大部分はゴシック様式として完成されています。ゴシック様式の定義は難しいですが、尖塔アーチが伸びていることや、内部空間が異常に高いなどに主な特徴があります。ゴシックは、12世紀後半ぐらいからフランスから始まったとされる様式で、パリのノートルダム大聖堂やケルン大聖堂などに代表されます。
数百年に渡る建築期間の間に、同じ建物でありながら建築様式の変遷があり、面白い。ストラスブールのノートルダム大聖堂を見に行く機会があれば、建築様式の違いを探してみるのも面白いと思います。
中世ヨーロッパの建築は、何世紀にも渡り建造がされるケースもあるため、同じ建築の中に、それぞれの時代で流行した建築様式が見られることがあります。ストラスブール大聖堂もまた同様でした。建築スタート時に流行していたロマネスク様式。建築が本格化した時期はすでにゴシックの時代となっていたため、今ではゴシックの傑作と言われる建築が完成したんですね。
モンサンミッシェルは、ゴシック様式やロマネスク様式、さらにはノルマン様式など、さながら建築博物館のようだと言われます。
最後に
ストラスブールの大聖堂を見てきました。建築期間が長いことから、時代時代の様式を取り入れているのが、とても面白いです。中世の建築は、今のような機械技術がないので、建築期間が長くなりましたが、その分、その時代の流行を取り入れる事も可能だったわけです。
長い期間の建築作業を継続させるのは本当に凄いです。建築様式を越して人々の思いが数百年に渡って継承されているのがわかります。
Photo and Writing by Hasegawa, Koichi
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