はじめに
ロンドンのテムズ川沿いにそびえる「テート・モダン」。もともとは発電所だったその建物は、いまや現代アートの殿堂として世界中のアートファンを魅了しています。大胆な建築デザインが目を引く外観、広々とした空間に展示される個性的な作品群──テート・モダンは、美術館という枠を超えて、訪れる人々に新たな発見とインスピレーションを与える特別な場所です。
現代アートの中心地ロンドンで、テート・モダンがどのようにアートシーンを彩り、進化させているのかを紹介していきます。
テートモダン
一見して「これが美術館なの?」と驚かされる大胆な外観を持つテート・モダン。しかしその中身は、まさに近現代美術の世界的な殿堂です。圧倒的なコレクションとともに、話題を呼ぶ最先端の展覧会が常に開催され、アートのトレンドを先導する存在としてロンドンに欠かせない場所となっています。ここを訪れるたび、アートが時代をどう映し出し、未来にどう繋がっていくかを実感できるでしょう。
バンクサイド発電所からテートモダンへ
この建物は、もともと「バンクサイド発電所」だった場所をリノベーションした美術館。そのため、まさに美術館らしからぬ外観が特徴です。高さ99メートルの煙突がそびえる様子は、かつての発電所の名残を今に伝えています。産業施設だった空間がアートの聖地へと生まれ変わり、過去と現代が調和するその姿こそが、テート・モダンならではの魅力を一層際立たせています。
イギリス美術の殿堂であるテートギャラリー(当時)は、膨大な所蔵作品を抱える中で、展示スペースや収蔵庫の不足に悩んでいました。特に増え続ける現代美術の作品を展示できる十分なスペースが必要とされていたのです。
そんな折、テートは広大な空間を持つバンクサイド発電所跡地に注目しました。この場所であれば、大型の作品やインスタレーションなど、現代アートの展示にも理想的な空間を確保できると考えたのです。こうして、アートと建築が新たな形で融合する「テート・モダン」プロジェクトが始動しました。
テートギャラリーはテートブリテンとして存続させ、主に英国美術を扱うようにしました。そして、近現代美術館としてはテートモダンを2000年にオープン。
(オススメ書籍の紹介)Tate Modern: Building a Museum for the 21st Century
英文の本ですが、モダン美術館と美術館建築に興味のある方はぜひ。優れた一冊です。
イギリスで最も人気の美術館
また、タービンホールと呼ばれる大きな空間スペースでは、現代アーティストによる展示が行われたりします。その他広い空間を持つテートモダンでは、パフォーマンス・アートやダンス、インスタレーションなど最先端のアートを展示します。
オラファー・エリアソンのウェザープロジェクト
テートモダンで代表的なインスタレーションを紹介します。
有名な現代アーティストであるオラファー・エリアソンは、テートモダンで行った大規模なインスタレーションプロジェクトであった「ウェザープロジェクト」(2003)で知られます。上述のタービンホールで行われるこのプロジェクトは、オレンジ色の照明を沈まない巨大太陽として設置します。
(オススメ書籍の紹介) Tate Modern Artists: Olafur Eliasson (Modern Artists Series)
この巨大なオレンジ照明と共に加湿器による霧と、天井に設置された巨大な鏡によってつくられる空間は、エリアソンを代表するアート空間として有名です。
おわりに:イギリスで最も人気の美術館
大人気のアートスポットとして注目を集めるテートモダンは、先頃イギリスの高級紙ガーディアンの記事にも「現在イギリスで最も訪問者を集める施設」として紹介されました。
現代作家の作品も数多く展示されているのと、質の高い展覧会も行われているため、訪問時にはチェックしておくといいです。 ロンドンは世界を牽引するアートセンターです。テートモダンで是非最先端の現代アートにも触れたいですね。
Photo and Writing by Hasegawa, Koichi and Shino
参考 テートモダン: 最新の展覧会情報をチェックしよう。 https://www.tate.org.uk/visit/tate-modern
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