シェイクスピアの故郷へ――ストラトフォード=アポン=エイヴォンの魅力
シェイクスピアといえば、ロンドンでの華々しい活躍がまず思い浮かびます。
しかし彼の人生を考えるうえで、故郷ストラトフォード=アポン=エイヴォンは欠かせません。
この町で生まれ育った経験が、後に世界中で読み継がれる作品群の感覚の土台になっていたのかもしれません。
ロンドンから列車でも訪ねることができるこの町は、到着した瞬間から空気が違います。
大都市の緊張が少しほどけ、英国地方らしい落ち着いた時間が流れている。
シェイクスピアの故郷という看板だけでなく、町そのものに魅力があると感じます。

シェイクスピアの故郷で建築散歩
この町を歩いてまず印象に残るのは、英国地方都市らしい建築の美しさです。
ロンドンの都市的な華やかさとは違い、ここでは中世から近世へと続く町並みが、今も生活の中に残っています。
通りを歩いているだけで、時間の層を感じることができます。
特に目を引くのが、いわゆるハーフティンバー様式の建物です。
木の骨組みが外から見えるこの様式は、アルプス以北の北方ヨーロッパに広く見られ、イギリスの歴史的な町並みを特徴づける要素のひとつでもあります。
シェイクスピアの故郷にこの建築がよく残っていることは、町の魅力を大きく支えています。

ハーフティンバー様式とは
ハーフティンバー様式は、柱や梁、筋交いなどの木造の構造体が外観に見える建築です。
白い壁と黒や濃茶の木組みのコントラストが美しく、イギリスの「古い町並み」の印象を決定づける様式のひとつです。
ストラトフォード=アポン=エイヴォンでは、この建築が町全体に自然に溶け込んでおり、歩いているだけで絵になる風景が続きます。

ちなみに、シェイクスピアの生家もこうしたハーフティンバー様式で知られています。
現在見られる建物は19世紀に復元・保存されたもので、今ではこの町を代表する見どころのひとつです。
文学者の生家でありながら、同時に英国建築を味わう場所でもある。
そこがこの町らしいところだと思います。
故郷で観劇するという贅沢
ストラトフォード=アポン=エイヴォンの大きな魅力は、単に「シェイクスピアゆかりの地」を見るだけでは終わらないことです。
この町には、現在も彼の作品を上演し続ける演劇文化が根づいています。
中心となるのは、ロイヤル・シェイクスピア・シアターを拠点とするロイヤル・シェイクスピア・カンパニーです。
シェイクスピアの劇は世界中で上演されていますが、彼の故郷でその作品を見るという体験には、やはり特別なものがあります。
文学が本として閉じられるのではなく、ふたたび舞台の上で生き始める。
その循環を、この町ではごく自然に感じることができます。
演劇好きにとってはもちろん、シェイクスピアをまだ深く読んでいない人にとっても、本場の舞台は大きな入口になるはずです。
読むシェイクスピアと、観るシェイクスピア。
その両方を同じ町の中で味わえるのは、やはり贅沢なことだと思います。




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