エディンバラ旧市街を歩く|世界遺産の石畳、ロイヤル・マイルと路地裏の旅

エディンバラの秋は美しい

クローズを歩く|路地裏小路の魅力

エディンバラ旧市街で特に好きなのが、クローズと呼ばれる細い路地である。

ロイヤル・マイルの左右には、細い小路がいくつも伸びている。

大通りから少し横に入るだけで、人の流れが急に変わる。

観光客でにぎわう通りから、薄暗い石の路地へ入る。壁が近くなり、足元には石畳が続き、先が少し見えにくい。

この「先に何があるのだろう」という感じが、路地歩きの楽しさである。

この道を抜けると、どこに出るのか。

この階段を降りたら、どんな景色が見えるのか。

エディンバラのクローズには、そうした小さな冒険心をくすぐる魅力がある。

エディンバラ旧市街の狭いクローズ
狭い路地は、幅数メートルしかない。Photo by HASEGAWA, Koichi

階段を降りると見える街

エディンバラ旧市街は高い場所にあり、新市街へ向かうには坂道や階段を下っていくことが多い。

クローズを歩いていると、やがて道が下り坂になり、階段へと変わる。

石の階段を降りていくと、ふいに視界が開けることがある。

それまで狭い路地に囲まれていたのに、突然、エディンバラの街並みが広がる。

この瞬間がとてもいい。

旧市街の重厚な石の世界から、新市街の整った都市景観へと視線が移る。

エディンバラの新市街は、18世紀後半以降に計画的につくられた街で、新古典主義の建築が並ぶ美しいエリアである。

中世の旧市街と、近代的な秩序を持つ新市街。

その二つが丘と谷を挟んで向かい合っていることが、エディンバラの景観を特別なものにしている。

エディンバラ旧市街の細い路地
旧市街には路地がたくさんある。Photo by HASEGAWA, Koichi

路地を抜け、階段を降り、新市街へ向かう。

その移動そのものが、エディンバラの歴史を歩いているように感じられる。

旧市街と新市街が調和する街。

その美しさこそ、エディンバラが世界遺産として評価される理由なのだろう。

エディンバラ旧市街の路地小路
旧市街の路地小路には魅力が詰まっている。Photo by HASEGAWA, Koichi

スコットランドのタータンチェック

エディンバラ旧市街を歩いていると、スコットランドらしいものにも自然と目が向く。

そのひとつが、タータンチェックである。

タータンは、色と線が組み合わされた格子柄の織物で、スコットランドの伝統文化を象徴するもののひとつである。

旧市街には、タータンを扱う店や、織物に関わる施設もあり、旅の途中でその色彩に触れることができる。

赤、緑、青、黒、黄色。

格子の組み合わせによって印象が大きく変わるのが面白い。

タータンは、地域や氏族と結びつけて語られることも多く、スコットランドの歴史やアイデンティティと深く関わっている。

現在では、伝統衣装だけでなく、マフラーやストール、バッグなど、日常のファッションとしても広く親しまれている。

旅先でこうした織物を眺めると、土地の文化が布の模様の中にも息づいていることを感じる。

スコットランドのタータンチェックの織物
タータンチェックが織物機の中に見える。Photo by HASEGAWA, Koichi

エディンバラの記憶

エディンバラは、歩くほどに印象が深くなる街である。

最初に目に入るのは、エディンバラ城やロイヤル・マイルのような大きな景観かもしれない。

けれど、しばらく歩いていると、細い路地や階段、雨に濡れた石畳、古い壁の質感が心に残ってくる。

大通りだけではなく、横道に入る。

階段を降りる。

石の壁に囲まれたクローズを歩く。

そうすることで、この街の魅力は少しずつ立ち上がってくる。

エディンバラは、華やかな街というより、深い街である。

歴史があり、物語があり、石の重みがあり、どこか幻想的な空気がある。

中世の旧市街と、端正な新市街。

城と路地。

タータンの色彩。

そして、物語を思わせる雨上がりの石畳。

スコットランドを旅するなら、エディンバラはぜひゆっくり歩きたい街である。

筆者について

長谷川浩一|美術史家・講師・執筆

旅先で出会った街角の光、夜の気配、建築や風景に残る時間の層を、
写真と言葉で記録しています。
東京では西洋美術史講座 Edogawa Art Salon, Tokyo を開き、
noteでも美術や旅にまつわる文章を書いています。

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