夜の北京紀行:什刹海(シーチャーハイ)に浮かぶ月

風光明媚な中国を味わいたいなら

什刹海の夜は面白かったけれど、もし中国の中でより風光明媚な景色を求めるなら、北京以外にも心に残る場所はある。

北京には紫禁城をはじめ歴史的な見どころが数多くあるが、個人的に印象的だったのは頤和園(イーフーユアン)である。人工の湖と広い庭園が作り出す景観には、北京の都市的な印象とは違う、ゆったりした美しさがあった。

頤和園の水辺の風景。Photo by HASEGAWA, Koichi

ただ、僕自身が思い描いていた「古き良き中国」にもっと近かったのは、むしろ杭州の方だった。湖と緑がつくり出す風景の美しさは、杭州のほうが自分の感覚にはしっくりきた。それでも、北京には北京の魅力がある。壮大な建築群や、皇帝の都市として積み重ねられてきたスケール感は、やはりこの街でしか味わえないものだ。

什刹海の湖畔で月を見上げた夜もまた、その北京らしさの一部だった。巨大都市のただ中で、ふと古い詩のような風景に出会う。その瞬間があるからこそ、北京の夜は記憶に残るのだと思う。

Photo and Writing by HASEGAWA, Koichi

筆者について

長谷川浩一|美術史家・講師・執筆

旅先で出会った街角の光、夜の気配、建築や風景に残る時間の層を、
写真と言葉で記録しています。
東京では西洋美術史講座 Edogawa Art Salon, Tokyo を開き、
noteでも美術や旅にまつわる文章を書いています。

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