夜の散歩シリーズ、アヴィニョン編。
クリスマスの季節、南仏アヴィニョンで過ごしたひとときが、今でも心に温かく残っている。夏の陽光も素晴らしいけれど、冬のアヴィニョンは一層ロマンチックで、街が静かな夢のように包まれている。
夜の帳が降りると、古の街並みが幻想的に輝き、ひと歩きするたびに物語が始まるかのような気持ちにさせてくれる。
今回は、その美しい夜のアヴィニョンを写真と共にお届けします。
南フランス巡りの拠点にオススメの中世の街:アヴィニョン
昼間の用事を済ませ、夕方、再びアヴィニョンの街に戻ると、クリスマスの装飾が街を華やかに彩っていた。この街は中世の面影を残す城壁に囲まれ、まるで時が止まったかのような美しい風景が広がっている。城壁を越えた先には、歴史的なアヴィニョン橋が静かに佇み、ローヌ川のほとりから眺める旧市街の景色は、まるで絵画のように美しい。夕暮れ時の柔らかな光に包まれたこの街で、心が静まる瞬間を感じながら歩きたい。
この滞在中旧市街にあるアヴィニョン教皇庁近くのメルキュール・ホテルを利用したが、ここは立地が素晴らしく、僕が滞在した部屋からは、教皇庁の建物が少し見えて中世の雰囲気を部屋でも感じられた。ホテルから夜の闇の中にひっそりと佇む中世の巨大建築。
クリスマスイブのアヴィニョンの街
寒い夜ではあったが、華やかなクリスマスイブの街に出てみる。
ヨーロッパの冬は寒くて日照も短い。クリスマスはキリストの誕生を祝う日であるが、このように寒く日照も短い時期にクリスマスというイベントをある意味楽しく過ごすようにしたのは、ヨーロッパ人の知恵なのかもしれない。また、古代ローマでは、太陽神の誕生を祝う日でもあった。
ヨーロッパではクリスマスは家族で過ごす。イブの夕方にもなると賑わっていた街もだんだんと人影が少なくなってくる。暖かい家の中で家族で食事をしたり団らんをする。日本でいうと正月のような感じだ。
食事をして街中を歩いていると、寒空の下でサックスとギターでクリスマスソングを演奏をしているミュージシャンがいてしばし聴き入る。道行く人々も楽しそうに聴き入っていた。フランスは音楽が身近で、素晴らしい。寒い夜であったが、暖かい雰囲気がその場所を包んでいた。
夜のアヴィニョン教皇庁
アヴィニョンは、ローマから教皇庁が移った街として知られる。1309年から1377年までの間、クレメンス5世から7代の教皇がこの街で在位し、最後にいたグレゴリウス11世の時期は文化的にも華やぐ。こうした歴史もあり、今でもその巨大な佇まいをみせる教皇庁がシンボルだ。
夜、教皇庁を見にホテルを出た。こうした歴史のある建築や町並みというのは、夜の雰囲気がいい。より重厚感を感じられ、中世の昔に思いを馳せされる。オレンジ色の街灯が道を照らしている。人影もまばらで、とても静かだ。
アヴィニョンには、14世紀の約70年間ほど教皇がいた。最後の教皇がローマに戻るまで、ここはある意味でヨーロッパの中心であったわけだ。
それに伴い、政治と宗教の中心がこの街にあり、様々な文化人も集まる。今でいうと首都が遷都されたような感じであろう。夜の教皇庁を眺めながら、14世紀にまで思いを巡らせる。
僕は古い歴史のある街に行くと、夜の街を歩きたくなる。アヴィニョンは中世の歴史が色濃く残り、歴史の重みも感じられ、夜の散策はそういった雰囲気を一層と感じられとてもいい。クリスマスの雰囲気も相まって、美しい中世の街がより華やいでいた。
Photo and Writing by Hasegawa, Koichi
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