パリ散歩の魅力を引き立てる庭園散策
パリの魅力の一つに、心を癒す庭園散策があります。歴史ある街並みを歩きながら、美しいフランス式庭園にも身を委ねてみませんか?今回は、パリの美しいフランス式庭園を紹介します。優雅な景観と香り高い花々が織りなすこの場所で、あなたの心もまた、パリの魔法に包まれることでしょう。
フランスの庭園といえば、やはりヴェルサイユ宮殿の広大な敷地に広がる美しい庭園が思い浮かびますよね。今回は、ヴェルサイユに代表する「フランス式庭園」のひとつとして、パリにあるチュイルリー公園(テュイルリー公園とも記載される)Jardin des Tuileries(フランス語)紹介します。フランスの庭園の魅力を存分に感じられるチュイルリー公園は、パリの中心部に位置し、散策する人々に安らぎを与えています。
これからパリを訪れたい方や、すでに訪れたことのある方、さらには現在ヨーロッパにお住まいの方々にとって、チュイルリー公園は「これがフランス式庭園なんだ」と実感できる場所です。
その美しい風景と歴史的な背景を知ることで、パリの魅力がさらに深まることでしょう。チュイルリー公園を訪れることで、フランス式庭園の真髄を体感してみてください。
チュイルリー公園の場所
パリの中心に位置するチュイルリー公園。多くの方は、わざわざこの公園を目指すというよりも、ルーブル美術館やコンコルド広場を訪れるついでに、自然豊かな散策を楽しむことが多いでしょう。
そのため、チュイルリー公園は観光名所の合間にふらりと立ち寄れる、心温まる癒しのスポットとして親しまれています。美術館の芸術に触れた後は、ぜひ公園でのひとときをお楽しみください。
この公園はセーヌ川に面し、東にはルーヴル美術館、西にはシャンゼリゼ通りと、まさにパリの中心に位置しています。
気分次第で、シャンゼリゼ通りへ向かうもよし、ルーヴル美術館に足を運ぶもよし。公園内からはセーヌ川の美しい景色を眺めることができ、またここから見るエッフェル塔の眺めも絶景です。どの方向に進んでも、パリの魅力が待っていることでしょう。
このパリ中心にあるチュイルリー公園は、代表的なフランス式庭園のひとつとして知られます。では、フランス式とはどのような庭園を言うのでしょうか。
チュイルリー公園は「王者の庭師」がデザインしたお庭
チュイルリー公園は、ルイ14世の元でヴェルサイユ宮殿の庭園をデザインした『王者の庭師』と呼ばれたアンドレ・ル・ノートル (1613-1700) によって17世紀に作られました。フランス式庭園は彼によって完成された庭園となります。
フランス式庭園とは
フランス式庭園は、平面幾何学式庭園とも呼ばれ、その名の通り幾何学的な美しさが際立つスタイルです。
この庭園の特徴は、宮殿を中心に設定された中央の軸となる道。軸線沿いには、左右対称のデザインが施され、整然とした美しさを誇ります。計算された配置と緻密なデザインが、訪れる人々に安らぎと驚きを与え、まるで時間が止まったかのような空間を創り出しています。
また、整然と並列に整えられた樹木の列が庭園を囲っているのも大きな特徴です。
庭園内の木、垣根、低木、芝生などは庭師の手できちんと剪定されています。このように、あらゆるものが美しいパターンで構成されています。
イギリス式庭園は、自然景観を追求したものですが、フランス式は、まるで自然さえも人間の計算の上でコントロールしているかのような考えの元作られています。
ルイ14世などに代表される権力者が、「自然をも我が物かのように見渡せるよう」、との考えの元デザインされているのかもしれませんね。
オススメの書籍紹介:「フランス庭園の旅」:この一冊でフランスの庭園の魅力を存分に味わえる!
本書では、フランス各地に点在する美しい庭園を紹介しています。特に、ル・ノートルの庭園に焦点を当てたフランス式庭園の魅力を深く掘り下げていますが、ページをめくるたびに他にもたくさんの素敵なフランス庭園が存在することに気づくでしょう。
ガーデニングを始めたい方や、お庭に愛情を注ぐ方、さらにはフランス文化に心惹かれる方には、特におすすめの一冊です。この本を手に取ることで、フランスの庭園の美しさを自宅で感じられることでしょう。あなたのインスピレーションが広がる、素晴らしい旅が始まります!
さあ、公園内を散策してみましょう。まずは公園の東側に足を運んでみます。
ここにはカルーゼル凱旋門がそびえ立っています。この美しい門は、ナポレオンの勝利を祝して1806年から1808年にかけて建造されたものです。その奥には、名高いルーブル美術館が広がり、芸術と歴史の宝庫が訪れる人々を待っています。凱旋門を眺めながら、美術館への期待感が高まりますね。
庭園内を進むと、いくつかの噴水や彫像が目に飛び込んできます。特に、噴水や池が庭園の中心部分に配置されるのは、フランス式庭園の大きな特徴の一つです。
元々、ローマ時代やルネサンス期から庭園デザインに取り入れられてきた噴水は、ルイ14世の時代にさらなる発展を遂げ、ヴェルサイユ宮殿にも見られるようになりました。チュイルリー公園にも美しい噴水があり、暖かい季節には、ここでのんびりとしたひとときを楽しむのも素敵です。静かな水の音に包まれながら、心をリフレッシュさせてみてはいかがでしょうか。
チュイルリー宮殿:現存しない宮殿に歴史のロマンを感じる
現在は見ることができませんが、カルーゼルの凱旋門のすぐ近くにはかつてチュイルリー宮殿がありました。
この壮大な宮殿は、フランス王アンリ2世の王妃、カトリーヌ・ド・メディシスが1563年に建造を命じ、以降100年もの歳月をかけて完成しました。その長い建設期間は、宮殿の規模とその重要性を物語っています。
後にルイ14世は庭園とともにこの宮殿の整備を命じますが、王族の居城はヴェルサイユへ移ることとなり、王室がチュイルリーに戻ったのはフランス革命の時期になってからです。
革命の波に乗り、ナポレオンはこのチュイルリー宮殿を自身の公邸として利用しました。その後、第二帝政期にはナポレオン3世が公邸として利用し、この華やかな宮殿は数々の外交の舞台ともなりました。
多くの歴史の舞台となったチュイルリー宮殿ですが、残念ながら1871年のパリ・コミューン時に焼失してしまいました。もし今も現存していたなら、どれほどの魅力を放っていただろうと想像すると、なんとも興味深いですね。
オランジュリー美術館でモネの睡蓮に浸る
モネの睡蓮で有名なオランジュリー美術館も公園内にあります。ここは是非訪れておきたいですね。
オランジュリーにある睡蓮の大壁画ですが、必見の作品です。晩年のモネが戦争で疲弊していたパリの民衆へ贈った傑作。彼はジヴェルニーでたくさんの睡蓮を描きますが、オランジュリーの大作がその集大成と言っていいでしょう。素晴らしい作品です。
※ モネに関しては違うブログにも書いてみたので、よかったら。
ここではオランジュリーの建物について少し紹介します。
まず名前から想像するかもしれないですが、もともとはオレンジ、つまり柑橘系の果物のために建てられた建物です。ナポレオン3世はルーブルのグランドギャラリーにあったシトラスの木を庭園に移そうと計画しますが、冬の寒さに耐えうる建物が欲しいという事になりました。そこで建てられたのが、オランジュリーの起源になります。1852年に建てられ、その後は音楽会や展覧会などの目的で使用され、1922年のモネの睡蓮を経て、美術館となりました。
チュイルリーの片隅にあるので、ぜひここで芸術に浸りたいですね。
参考)モネの睡蓮について知りたい方にオススメの一冊です。オランジュリーの睡蓮への過程がわかります。
庭園からフランス人の心を感じる
フランス人は、先祖の土地を守るという深い思いから、庭に特別な感情を抱いていると言われています。
旅の始まりにチュイルリー公園を散策することで、そんなフランス人の心に触れ、彼らの文化や歴史に思いを馳せてみるのも素晴らしい体験です。美しい風景の中で、歴史と自然が調和した空間を楽しみながら、フランスの心を感じ取ってみてはいかがでしょうか。
Photo and Writing by Hasegawa, Koichi and Shino
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