御前崎灯台を訪ねて
少しずつ暖かくなってくると、海の方へ行きたくなる。
窓を開けて車を走らせ、海岸沿いの道をゆっくり進む。
そんな旅にちょうどいい場所が、静岡県の御前崎である。
御前崎は、静岡県の南端にある岬だ。
太平洋に向かって突き出したこの場所には、白い灯台が立っている。
海が好きな人、灯台が好きな人、そして何より、広い水平線を眺めたい人には、とても気持ちのよい場所だと思う。
静岡の海岸線には、どこかのびやかな空気がある。
伊豆のような華やかさとも、湘南のような賑わいとも少し違う。
御前崎には、もっと素朴で、風の強い、広々とした海辺の感じがある。
変に観光地化されすぎていないところもいい。
海があり、灯台があり、空が広い。
それだけで十分だと思える場所である。
海岸線を走る
御前崎へ向かう道は、車で走るのが気持ちいい。
東名高速を降りてから、しばらく静岡の平野を抜け、海の方へ向かっていく。
だんだん空が広くなり、海の気配が近づいてくる。
風の強い日には、車を降りた瞬間に、遠州灘の空気を感じる。
潮の匂い、強い日差し、どこまでも続くような水平線。
海岸線のドライブには、目的地へ急ぐというより、道そのものを楽しむ時間がある。
天気のよい日に、好きな音楽を流しながら、のんびり走る。
そういう旅には、御前崎はよく似合う。
岬に近づくと、白い灯台が見えてくる。
海を背にして立つその姿は、とても端正だ。
派手ではないが、空と海の青さの中で、白い灯台がよく映える。

御前崎灯台と遠州灘
御前崎灯台は、一八七四年に建てられた西洋式灯台である。
明治の時代、日本の近代化が進む中で、この海の安全を守るために築かれた。
遠州灘は、昔から重要な航路でありながら、海が荒いことでも知られてきた。
風が強く、波も高い。
船の座礁や難破が多かったため、この岬に灯台が必要とされた。
灯台は、海を美しく見せるためだけの建物ではない。
本来は、危険な海を行く船に光を届けるためのものだ。
そう考えると、御前崎灯台の白い姿も、ただ穏やかな風景の中に立っているわけではない。
その背後には、荒れる海と、航路を守るという切実な役割がある。
灯台には、どこか人の営みの真面目さがある。
海は大きく、人間にはどうにもならない。
けれど、その海に向かって、人は小さな光を灯す。
その姿に、僕はいつも少し心を惹かれる。
灯台から見る太平洋
御前崎灯台は、上まで登ることができる。
日本の灯台の中には内部に入れないものも多いので、灯台好きにはうれしい場所である。
上へ登ると、視界が一気に開ける。
目の前には、太平洋が広がっている。
海を見るとき、人はそれぞれ違うことを思うのだと思う。
泳ぎたいと思う人もいる。
サーフィンをしたいと思う人もいる。
海の幸を思い浮かべる人もいるだろう。
ただただ、青さに見とれる人もいる。
僕の場合、海を見ると、どうしても水平線の向こうを考えてしまう。
この先には何があるのだろう。
ずっと進んでいけば、どこへたどり着くのだろう。
御前崎は太平洋に面している。
目の前の海は、どこまでも広く、遠い。
この海の先に、別の大陸がある。
そう思うだけで、心の中の距離感が少し変わる。
日常では、目の前のことに追われがちだ。
けれど海の前に立つと、視線が自然と遠くへ向かう。
水平線は、ただの線ではない。
自分の心を、少し遠くへ連れていってくれるものなのだと思う。








灯台が大好きです!
御前崎の灯台は太平洋を3方向にのぞみ、とても開放感がありますよね。
全国の灯台めぐりをしてみたいです。