夜の散歩シリーズ:東京夜景散歩 六本木ヒルズから富士山と春の夕暮れを眺める

夜の散歩シリーズ:東京夜景散歩 六本木ヒルズから富士山と春の夕暮れを眺める

夜の散歩シリーズ、今回は東京編。

春先になると、日が少しずつ長くなってきたなと感じる。
東京にも春が来る。

高層ビルの上からは、遠く富士山が見える。
夏が近づくにつれて空気に湿気が増し、東京から富士山はだんだん見えにくくなっていく。
くっきりとその姿を望めるのは、やはり冬のあいだが多い。

今日も太陽がゆっくりと落ちていき、富士山の稜線をやわらかく照らしている。

一年を通して太陽の沈む位置を眺めていると、その場所が少しずつ移っていくのがわかる。
そんな変化を見ていると、なんだか宇宙のリズムのようなものを感じる。
都市の上に立っているのに、目の前にあるのは、もっと大きな時間の流れなのだと思わされる。

今日もまた太陽が沈み、東京に夜がやって来る。

六本木ヒルズの屋上からは東京夜景の絶景が広がる。

ああ、カメラを持ってくればよかった。
そう思うほどの絶景だった。

仕方なくiPhoneを取り出して夜景を撮ってみる。
それでも、目の前に広がる東京の光は十分に美しい。
無数の灯りが地上にひろがり、道路は細い光の線となって伸びていく。
昼間にはただ巨大に見える都市が、夜になるとひとつの静かな光の風景に変わる。

東京の夜景は、華やかで、どこか少し無機質でもある。
けれど、こうして高いところから眺めていると、その光のひとつひとつの下に、人の生活があり、帰り道があり、食事があり、誰かの一日があるのだとふと思う。
大都会の夜景というのは、ただ明るいだけではなく、無数の時間が重なってできているのだ。

そして、そのずっと向こうには富士山がある。
東京の灯りと、遠い山の静かな輪郭。
その対比が、この景色を特別なものにしているのかもしれない。

夜の六本木ヒルズに立っていると、東京という街は、人工の光だけでできているわけではないのだと感じる。
夕暮れの名残、富士山の稜線、空の色の移ろい。
そうした自然の気配がまだかすかに残っているからこそ、夜景はより深く見える。

しばらくのあいだ、僕はただその景色を眺めていた。
春の入口にある東京の夕暮れは、きらびやかでありながら、どこか静かだった。

今回散歩した場所

東京の夜景を見ていると、季節の移ろいは、地上よりもむしろ空の方にはっきり現れるのかもしれないと思う。
日が長くなること、太陽の沈む位置が変わること、空気の透明さが少しずつ失われていくこと。
そうした変化が重なって、春の東京の夜ができている。

また別の季節にも、この場所から街を眺めてみたい。

Photo and Writing by Hasegawa, Koichi

筆者について

長谷川浩一|美術史家・講師・執筆

旅先で出会った街角の光、夜の気配、建築や風景に残る時間の層を、
写真と言葉で記録しています。
東京では西洋美術史講座 Edogawa Art Salon, Tokyo を開き、
noteでも美術や旅にまつわる文章を書いています。

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