山梨・勝沼ぶどうの丘へ|甲州ワインとぶどう畑をめぐる旅

勝沼には葡萄畑が広がる

ワインカーブで、甲州ワインを味わう

勝沼ぶどうの丘の楽しみのひとつが、地下にあるワインカーブである。

ここでは、山梨県産のワインを数多く試飲することができる。白、赤、ロゼ、スパークリング。ずらりと並ぶボトルを前にすると、どれから味わえばいいのか迷ってしまうほどである。

特に甲州ワインを楽しむなら、まずは白の辛口から試してみるのがいいと思う。

甲州ワインには、派手すぎない魅力がある。すっきりとしていて、食事に寄り添う。和食にも合わせやすく、魚料理や野菜料理にもよく合う。強い香りで押してくるのではなく、静かに余韻を残すような味わいがある。

ワインカーブでは、タートヴァンと呼ばれるきき酒杯を使って試飲していく。

金属製の小さな杯を手に、気になるワインを少しずつ試していく時間は、なかなか楽しい。旅先ならではの小さな高揚感がある。

勝沼ぶどうの丘のワインカーブに並ぶ山梨ワイン
ワインカーブに並ぶ山梨のワイン。Photo by HASEGAWA, Koichi
勝沼ぶどうの丘で使うタートヴァン
タートヴァンを手に、少しずつワインを味わう。Photo by HASEGAWA, Koichi

ワインを試飲していると、同じ山梨のワインでも、味わいがかなり違うことに気づく。

軽やかなもの、香りが華やかなもの、酸がきれいなもの、少し厚みのあるもの。ぶどうの品種、造り手、畑の違いによって、印象は変わっていく。

そうした違いを感じながら歩いていると、ワインが単なる飲み物ではなく、土地と人の仕事から生まれたものなのだと実感する。

勝沼で感じる、山梨の明るさ

勝沼の魅力は、ワインだけではない。

ぶどう畑のあいだを歩くと、山梨の明るさが身体に入ってくるような気がする。空が広く、日差しがよく届き、山の稜線が遠くに見える。東京で過ごしていると忘れがちな、土地の大きさを感じる。

山梨には、どこか健康的な豊かさがある。

果物が実り、水があり、山があり、温泉があり、そしてワインがある。食べる楽しみと眺める楽しみが、自然につながっている土地だと思う。

勝沼ぶどうの丘に立つと、その魅力がよくわかる。

丘の上から甲府盆地を眺め、地下でワインを味わい、外へ出るとまた山々の風景が広がっている。土地の上と下、光と熟成、畑とグラスがつながっているようで、とても気持ちがいい。

山梨へ行ったら、勝沼を歩いてみたい

山梨を訪れるなら、ただ目的地へ向かうだけでなく、勝沼のぶどう畑の風景をゆっくり見てみるのがおすすめである。

ワイナリーをめぐるのもいい。勝沼ぶどうの丘でいろいろなワインを試すのもいい。車で訪れるなら飲む人と運転する人の調整は必要だが、景色だけでも十分に楽しめる場所である。

そして気に入った一本が見つかったら、それを旅の記憶として持ち帰るのもいい。

家に帰ってから、そのワインを開ける。

グラスに注いだとき、丘の上から見た甲府盆地や、ぶどう畑の光がふっと戻ってくる。旅先で買ったワインには、そういう楽しさがある。

山梨は、食と風景が豊かな土地である。

その中でも勝沼は、ぶどうとワインを通して、この土地の魅力をとても自然に感じさせてくれる場所だった。

ぶどう畑を眺め、丘の上に立ち、甲州ワインを少しずつ味わう。

そんな旅の時間は、派手ではないけれど、心にやさしく残っている。

筆者について

長谷川浩一|美術史家・講師・執筆

旅先で出会った街角の光、夜の気配、建築や風景に残る時間の層を、
写真と言葉で記録しています。
東京では西洋美術史講座 Edogawa Art Salon, Tokyo を開き、
noteでも美術や旅にまつわる文章を書いています。

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