青森ねぶたを旅する|ワ・ラッセで出会った夏祭りの光

ねぶたの迫力といったら!

青森ねぶたを旅する

青森と聞くと、いくつもの風景が浮かんでくる。
りんご、八甲田山、十和田湖、太宰治、そして、夏の夜を熱く彩るねぶた祭り。

東北には、土地ごとに強い個性をもった祭りがある。
秋田の竿燈、仙台の七夕、そして青森のねぶた。
その中でも、ねぶた祭りには、どこか身体ごと巻き込まれるような力がある。

昔、青森市出身の友人が、
「夏になったら跳ねに来い」
と言っていた。

最初は何のことかわからなかった。
けれど、それがねぶた祭りのことだと知って、なるほどと思った。
ねぶたは、ただ見る祭りではない。
地元の人にとっては、声を出し、跳ね、身体で参加する祭りなのだ。

僕は青森には何度か行っているが、残念ながら、まだ本当のねぶた祭りの夜を体験したことはない。
夏の青森の街を、大きなねぶたが進み、囃子が鳴り響き、人々が跳ねる。
その光景をいつか見てみたいと思っている。

青森のねぶた
ねぶたは夜に映えるでしょうね。Photo by HASEGAWA, Koichi

けれど、祭りの時期を外しても、青森でねぶたに出会うことはできる。
それが、青森駅の近くにある「ねぶたの家 ワ・ラッセ」である。

ねぶたの家 ワ・ラッセへ

青森駅の近くを歩いていると、海の気配が近い。
駅前にはどこか港町らしい空気があり、旅に来たという感覚が少しずつ高まってくる。

その青森駅前にあるのが、ねぶたの家 ワ・ラッセである。
ここでは、実際の祭りで使われた大型ねぶたを間近に見ることができる。

祭りの夜に街を進むねぶたを見たわけではない。
それでも、展示室に入って大型ねぶたと向き合うと、思わず足が止まった。

大きい。
そして、鮮やかだ。

武者の表情、見開かれた目、うねるような身体の動き、極彩色の光。
ねぶたは、ただ大きな灯籠というだけではない。
そこには、物語があり、動きがあり、強い感情がある。

ねぶたの家ワ・ラッセに展示される大型ねぶた
大きなねぶたには大感動です。Photo by HASEGAWA, Koichi

ねぶたは、静止していても迫力がある。
けれど本来は、これが夏の夜の街を動いていくのだと思うと、その姿はさらに大きく想像される。
光をまとい、囃子に包まれ、人々の熱気の中を進む。

展示室で見ているだけでも、その祭りの空気が少し伝わってくる。

光と色の祭り

ねぶたの魅力は、やはり光と色にある。

赤、青、緑、黄色。
強い色が大胆に使われているのに、不思議と全体がまとまっている。
顔の表情は激しく、身体の動きは劇的で、まるで一場面がそのまま立体になったように見える。

ねぶたには、絵画のような面白さもある。
線の強さ、色の配置、人物の表情、場面の構成。
平面の絵とは違うが、光を内側からともすことで、色彩そのものが生きてくる。

昼の展示でも美しい。
けれど、これが夜に輝いたら、どれほど印象的だろう。

青森の夏の夜に、巨大なねぶたが浮かび上がる。
その周囲で囃子が鳴り、人々が跳ねる。
そう考えるだけで、祭りが単なるイベントではなく、街全体の記憶として続いているものなのだと感じる。

ねぶたの家ワ・ラッセの展示風景
ねぶたの展示もとても興味深い。Photo by HASEGAWA, Koichi

ワ・ラッセでは、ねぶたそのものだけでなく、祭りの歴史や制作の過程にも触れることができる。
ねぶたは、完成した姿だけを見ると、とても華やかだ。
しかし、その背後には、長い準備と多くの人の手がある。

祭りとは、一夜で突然現れるものではない。
その土地の人たちが、季節の巡りの中で少しずつ準備し、受け継ぎ、また次の年へつないでいくものだ。

ねぶたを見ていると、青森の夏が、そのまま巨大な光の造形になったように思える。

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