アテネで食べたギリシャ料理|プラカの夜、ムサカとスブラキの記憶

プラカの夜を歩く

アテネで夜を過ごすなら、プラカ地区はとても楽しい。

アクロポリスの麓に広がる古い街並み。
細い道。
石畳。
店先に並ぶテーブル。
観光客の声。
タベルナから漂ってくる料理の香り。

プラカは、いかにもアテネらしい場所だと思う。
古代遺跡のすぐそばに、今の街のにぎわいがある。
歴史と日常が、かなり近い距離で共存している。

夕方になると、空気が少しやわらかくなる。
昼間の強い日差しが落ち着き、店の灯りが目立ちはじめる。
アクロポリスの丘がライトアップされると、夜のアテネには独特の美しさが生まれる。

ムサカを食べ、スブラキを食べ、ギリシャ風サラダをつまみ、ビールを飲む。
それだけで、もう十分にいい夜だ。

食後にプラカを散歩する時間も忘れがたい。
お腹は満たされていて、少しだけ酔っていて、夜風が心地よい。
店の前を通ると、また別の料理の香りがしてくる。
もう食べられないのに、また食べたくなる。

旅の幸福は、案外こういうところにある。
大きな名所を見た瞬間だけではなく、夕食のあとにふらふら歩いている時間。
どこへ行くでもなく、ただその街の夜に身を置いている時間。

ギリシャ料理は、日本人にも合うと思う

ギリシャ料理は、日本人にもかなり食べやすいと思う。

もちろん、オリーブやフェタチーズ、羊肉など、少し慣れが必要なものもある。
でも全体としては、野菜が多く、味つけも重すぎず、親しみやすい。

ナスやトマトを使う料理は、日本人にもなじみやすい。
ヨーグルトのソースも、最初は少し意外だが、食べてみると肉にとてもよく合う。
オリーブオイルの香りも、慣れると食卓に欠かせなくなる。

そして何より、ギリシャ料理には気取らない楽しさがある。
高級料理というより、みんなでテーブルを囲んで、ゆっくり食べる料理という感じがする。

旅先で食べる料理として、それはとても大切なことだと思う。
緊張せず、難しく考えず、おいしいものをおいしいと言いながら食べる。
ギリシャ料理には、そういう明るさがある。

地中海の味と旅の記憶

ギリシャの旅を思い出すとき、僕の中では料理の記憶がかなり大きい。

アテネのプラカで食べたムサカ。
オモニア広場の近くで食べたスブラキ。
オリーブとフェタチーズのあるサラダ。
夜風の中で飲んだビール。
ライトアップされたアクロポリス。

どれも特別なことではない。
けれど、旅のあとに残るのは、こうした小さな時間だったりする。

ギリシャ料理は、古代から続く食文化の一部であり、地中海世界の広がりを感じさせるものでもある。
でも、旅人にとっては、まず目の前の一皿がおいしいことが何より大事だ。

おいしい料理を食べると、その土地が少し近くなる。
言葉がわからなくても、歴史を全部知らなくても、食卓を通してその場所に触れられる。

ギリシャ料理は、僕にとってそういう入口だった。

アテネの夜、プラカの路地、タベルナの灯り。
そして、熱々のムサカ。

ギリシャを思い出すとき、僕は今でも、あの味を思い出す。

筆者について

長谷川浩一|美術史家・講師・執筆

旅先で出会った街角の光、夜の気配、建築や風景に残る時間の層を、
写真と言葉で記録しています。
東京では西洋美術史講座 Edogawa Art Salon, Tokyo を開き、
noteでも美術や旅にまつる文章を書いています。

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2件のコメント

ギリシャ料理、馴染みがないけれど、ぜひ食べてみたいですね。
都内のレストランなら行けるので、予約してみようかな!

特にムサカはギリシャ版のラザーニアみたいでとっても美味しいでーす!
ぜひレストランでも食べてみてください!

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