はじめに
今回紹介するのはフランシスコ・デ・ゴヤと王立サン・フェルナンド・アカデミー。
マドリードにある美術学校兼美術館であるサン・フェルナンドアカデミーは、ゴヤが教授だったことでも知られ、彼の作品も収蔵展示されていることからマドリードで必見の美術館だ。コロナが落ち着いたら、ぜひ行ってみたい美術館。
さあ、ゴヤとアカデミーに焦点を当ててみていこう。
ゴヤとサン・フェルナンド・アカデミーの関係
ベラスケスやピカソと並びスペインが生んだ巨匠フランシスコ・デ・ゴヤ (1746-1828)。数々の傑作を残したことで知られる巨匠だ。彼の描く肖像は、描かれた対象の心までも浮き彫りにする。
ゴヤの生涯
ゴヤの生涯を簡単に確認していこう。
ゴヤはマドリードを中心に活躍し、40代になると宮廷画家としての地位を得る。
しかし、不治の病の影響で聴覚を失ったり、ナポレオン戦争の影響もあり自由主義者の弾圧からフランスのボルドーに亡命し、同地で亡くなる。有名な作品は数知れず、そのうちの数点は美術史上を飾る傑作群である。
彼の芸術は、後のロマン派に影響を与えたり、近代絵画の祖とも言われるマネにも多大な影響を与えるなど、その芸術性は計り知れない。
ゴヤの人生において、いくつかの時期で王立サン・フェルナンド・アカデミーが登場する。このアカデミーは1752年に設立された美術学校兼美術館だ。
現在は、1500点以上の絵画や、1500点以上の彫刻をはじめとしたコレクションを有したマドリードを代表する美術館にあげられる。
マドリードには、世界に名だたるプラド美術館やティッセンボルネミッサ美術館があるが、サン・フェルナンドも是非見ておきたい美術館の一つ。
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ゴヤの逆襲
ゴヤは、同校のディレクター/教授として名を残している。
王立アカデミーで催されるコンクールで受賞して宮廷に昇るのが、当時の画家のサクセスコース。
そう、画家であれば誰もが夢見る宮廷画家の地位にまで行くのは、ゴヤの時代すでに巨匠であったベラスケスに並ぶことを意味する。ゴヤにとって王立アカデミー内での評判は、出世に大きく響くことを意味した。
※オススメ本「ゴヤの手紙」:ゴヤの出世欲であったり、芸術との格闘、人間関係などが生々しく書かれている。ゴヤの人間性に迫れる必読の本です。
彼は30代半ばで同アカデミーの正会員になり、49歳で教授に就任しているが、実は彼と同校との関わりは、10代の頃から2度に渡る奨学生試験の失敗から始まる。奨学生試験で落ちた学校に教授として就任するとは、なんとも格好がいい。
受験生としては2回もの挫折を経験したが、教授に就任し、今日では彼の作品も常設展示されている。
まさに、ゴヤは逆襲を果たした。
彼の心境はどのようなものであったろうか。宮廷画家としての地位にまで登るのは画壇最高峰であろうし、アカデミーでの地位もまた凄い影響力があったであろう。
また、このアカデミーでは、ピカソやダリといった後の巨匠も学んでいる。
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サン・フェルナンドで見るゴヤ作品
サン・フェルナンド・アカデミーで是非見ておきたいのは、もちろん13点のゴヤの作品である。
うち2点の自画像 (1785年) (1815年)やマヌエール・ゴドイ将軍の肖像 (1801年)は、彼を扱った本には必ず載っている代表作。何と言ってもここの美術館は、ゆっくりと鑑賞する事ができ、じっくりとゴヤに対面できる贅沢な施設だ。
さあ、ここでゴヤを見たら、ゴヤの傑作群を見るためプラド美術館へ行こう。数々の傑作を楽しみたい。
王立アカデミー鑑賞後の楽しみ: スペイン・バル
サン・フェルナンド・アカデミーは、マドリードの中心であるプエルタ・デルソル近くにある。この界隈は、沢山のお店やレストランがあるマドリードで一番ダイナミックな場所の一つだが、オススメはバルだ。
バルはスペイン風の居酒屋。朝や昼間はカフェ的な役割も持つため、コーヒーや軽食も食べれる。夜はもちろんビールにタパス、アヒージョ、ピンチョスなどが提供され多くの人で賑わう。
ここは有名なハムの博物館もいいが、個人的に好きなのは、ラブラの家 (Casa Labra)。ここはいかにもスペイン風の立ち飲み酒場で、オススメなのはタパスだ。金額も安く、タラのコロッケなどが人気。ここはマドリードの人に混じってビール片手にタパスといきたい。最高のマドリードの夜を過ごせるはず。
※オススメの本:「スペイン旅行最強ナビ」。海外旅行が気軽に行けるようになったら是非活用したいスペイン旅行ガイド。
Photo and Writing by Hasegawa, Koichi
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